質問主意書

第145回国会(常会)

質問主意書


質問第一号

川辺川ダム建設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十一年一月二十九日

中村 敦夫   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   川辺川ダム建設に関する質問主意書

 政府が熊本の球磨川水系川辺川に建設中の川辺川ダムは、総額約二千六百五十億円にも及ぶ国費が投入される。
 当該ダムは、政府の説明によると球磨川の洪水を防ぐために必要とされているが、その治水計画がどの程度の合理性、説得性をもっているのか、ダムに代わる治水対策の手段がないかどうか、巨額の公共事業故に様々な角度から検討する必要がある。
 今、公共事業に対する多くの疑問が国民から示されている。国民主権を定める日本国憲法は、政府が政策を執行するに当たり、主権者たる国民との情報共有によって理解を得ることを要請していると考える。つまり、政府による積極的な情報公開が公共事業執行の前提であり、それは憲法に根拠を持つといえる。
 右の観点に立って、次の事項について質問する。

一 球磨川水系には、既に幾つかのダムが存在しており、川辺川ダム建設の妥当性を判断するためには、既設ダムに関する検証が不可欠である。

1 人吉市における、昭和四十年七月洪水での水位の急激な上昇と市房ダムの放流との関連の有無について、政府の見解を明らかにされたい。
2 球磨川本川の荒瀬ダム及び瀬戸石ダムでの洪水・氾濫の実態について、政府の調査報告は存在するのか。存在するならばその概要を示されたい。また調査報告が存在しないならば、存在しない理由を明らかにされたい。

二 川辺川ダムの治水効果に関して、決壊を防ぐ等の理由で緊急放流を行うことにより、川辺川ダム自身が下流の水害を増大させることはないのか。水害増大の可能性の有無を明らかにされたい。

三 新河川法による河川整備基本方針の策定作業において、基本高水流量の見直しが政府によって行われていると聞くが事実か。事実ならば、球磨川水系の河川整備基本方針の策定作業の現在までの経過及び決定時期を具体的に明らかにされたい。

  右質問する。