質問主意書

第144回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

海外での廃船処理による公害等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年十二月十四日

加藤 修一   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   海外での廃船処理による公害等に関する質問主意書

 現在、広島の造船会社(常石造船)が運輸省の「船舶解撤促進助成金」を受けてフィリピンで行っている船舶の解撤事業によると思われる、環境ホルモンの一種である有機スズ化合物によって海洋が汚染されているという実態が報告されている。この地域の海底の泥から検出されたTBT(トリブチルスズ)は、日本で検出された過去最高の数値の数十倍にも及ぶという。
 この件に関し以下質問する。

一、運輸省は当該問題についての環境汚染の実態調査をすべきだと思われるが、いかがか。

二、日本企業が海外で行っている船舶の解撤事業について、国別・港湾別に、船舶の総隻数、トン数、船籍、船年齢及び最終出航港を示されたい。

三、助成金に関して「環境基準」を条件づけるべきであると思われるが、政府の見解如何。

四、解撤される船舶内にはアスベスト、PCBを含む備品が存在すると思われるが、そのような船舶を解撤目的で国外に移動することはバーゼル条約に抵触すると思われる。政府の見解を示されたい。また、書類上、解撤目的になっていないものが、現地到着後即座に解体作業に移されることもある。この点の実態調査の必要性についても政府の見解を示されたい。

五、現在、多国間の貿易・投資が一段と進展していることから、本件を初めとして、我が国からの公害輸出という問題が深刻化しつつあるように見受けられる。この点を踏まえて、外為法の第二十三条第四項第二号の解釈において、このような環境的側面に配慮することが必要かと思われる。今後検討する予定はあるか。政府の見解を改めて問う。

  右質問する。