質問主意書

第144回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

二〇〇五年日本国際博覧会(愛知万博)と瀬戸市南東部の新住宅市街地開発事業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年十二月十一日

八田 ひろ子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   二〇〇五年日本国際博覧会(愛知万博)と瀬戸市南東部の新住宅市街地開発事業に関する質問主意書

 二〇〇五年日本国際博覧会(以下「愛知万博」という。)の会場予定地である瀬戸市南東部は、愛知万博に向けて荒造成を新住宅市街地開発事業(以下「新住事業」という。)で行い、愛知万博終了後に再び本格的に新住事業を進めることになっている。
 瀬戸市の新住事業は、一九九〇年度から新住事業に「準ずる」事業として認可をとり買収が進められてきた。愛知万博終了後でなければ本格的事業はできないので、万博が終わるまで十五年もの長期間、金利を負担していかなくてはならない。また、地価の下落が続き不況が長期化しており、近傍の上野山団地も売れ残っている中で本件事業の住宅地販売の不振はさけられない。
 最近までに事業が終了した新住事業は全国で三四地区七五二一ヘクタールであり、その地区人口は九〇一〇〇〇人である。一〇〇〇人当たりの事業面積の平均は八・三四ヘクタールである。例えば、愛知の桃花台地区の場合は三一三ヘクタールの事業地に四〇〇〇〇人の計画である。これに比べ、瀬戸市南東部の新住事業の計画は一五〇ヘクタールに六〇〇〇名というものであり、したがって一〇〇〇人当たりの事業面積が二五ヘクタールとこれまでの平均の三倍をかかえることになる。
 このように、瀬戸市南東部で住宅用地の予定面積が事業面積の十三・七%と極端に低いのは、愛知万博事業の関連で公園・緑地を事業面積の五十一・七%としているからである。これは同じ愛知の桃花台地区の住宅用地予定面積の事業面積に占める割合四十七%と比較してその三割にも満たない。これでは良好な住宅地を供給するという新住事業の目的は名目にすぎず、愛知万博のための事業としかいえない。よって、今からでも抜本的に見直すべきであり、必要な資料の公開が求められる。
 また、万博関連事業の規模としては、名古屋瀬戸道路は三〇〇〇億円、愛知環状鉄道の複線化等に三〇〇~四〇〇億円、リニアを予定している東部丘陵線は一〇〇〇億円との新聞報道もなされている。愛知万博は六ケ月間のイベントであるにもかかわらず、万博関連事業の負担が莫大であるので、県民の暮らしのための予算を圧迫し、福祉、教育予算の削減への重しとなりかねない。さらに、会場建設費についても、負担割合だけが確定され、その総額については概算さえも明示されていない。これでは、閣議了解で「博覧会の規模は極力圧縮」するとしても根拠がない。必要な資料を公開し、事業を抜本的に見直すことが求められている。
 こうした立場から以下の点について質問する。

(1) 新住事業に準ずると認定した時点(一九九〇年十月十一日)での新住事業に準ずる事業としての資金計画、処分計画、設計の内容、事業地の位置及び事業区域を明示されたい。また、愛知万博を閣議了解した時点(一九九五年十二月十九日)での新住事業に準ずる事業としての事業規模の縮小変更後の資金計画、処分計画、設計の内容、事業地の位置及び事業区域を明示されたい。
(2) 瀬戸市南東部では宅地が著しく不足するような現状ではなく、さらに、これまでの新住事業と比較しても異常な計画であり、制度の目的を逸脱しており、土地収用権付与にふさわしい高い公共性はないので、新住事業として認可できないのではないか。
(3) 閣議了解における「博覧会の開催に関連する公共事業」とは、何であるのか。それらを合計した概算事業費はいくらか。自治体負担はどのように想定しているのか明示されたい。
(4) 会場建設費は、国、地方自治体、民間がそれぞれ三分の一ずつ負担することとされているが、その総額は一〇〇〇~一五〇〇億円との新聞報道もあるがどのようになっているのか。
(5) 愛知万博会場へのアクセスとしての、名古屋瀬戸道路、愛知環状鉄道、東部丘陵線のそれぞれの愛知万博に関連する事業費及び万博後の採算見通しを明確にされたい。

  右質問する。