質問主意書

第143回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一四三第一三号

  平成十年十月三十日

内閣総理大臣 小渕 恵三   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員小川勝也君提出減額年金支給制度の導入に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小川勝也君提出減額年金支給制度の導入に関する質問に対する答弁書

一について

 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七条第一項第一号に規定する国民年金の被保険者(以下「第一号被保険者」という。)に係る保険料の納付については、市町村は、保険料納付済期間の多寡にかかわらず納付を求めているところである。市町村によって収納率に差が生じていることは事実であるが、国民年金制度は、第一号被保険者の保険料の納付については、基本的に、納付義務を負う第一号被保険者が自主的に納付することに期待しているものであることから、収納率に差が生じていることが直ちに法の下の平等に反するものとは認識していない。
 また、市町村が国民年金の保険料の収納率の低下を理由として一定の義務を課せられるような制度はない。なお、国民年金法第八十六条の規定に基づき国が国民年金事業の運営に関して市町村に交付する事務費の額の一部については、事務の処理に必要な費用を交付する観点から、被保険者数や収納率に応じて算定しているところである。

二について

 被保険者の支払う保険料により受給者への給付に要する費用を賄っている国民年金制度を安定的に運営し、現在及び将来の受給者への年金の支給を確実なものとするためには、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上という老齢基礎年金の支給要件は、維持することが必要であると考えている。
 御指摘の「年金に関する行政監察」がその検討を勧告した減額年金支給制度の導入については、被保険者の保険料納付の意欲を阻害し、保険料収入の減少につながり、年金制度自体の崩壊につながるおそれがあることから、慎重な取扱いを要する問題であると考える。
 また、年金受給権の確保の観点から、保険料を納付しても二十五年を満たさない者に対する救済措置については、既に高齢者の任意加入制度等が設けられているところであるが、今後とも、国民が国民年金制度に対する正しい理解を得るための広報や情報提供を一層充実させるとともに、保険料の未納者に対する督励の着実な実施等を通じ、被保険者が老齢基礎年金の支給要件を満たすよう努めてまいりたい。