質問主意書

第143回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

米軍基地周辺地域における米軍機の騒音対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年十月十六日

井上 美代   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   米軍基地周辺地域における米軍機の騒音対策に関する質問主意書

 横田、厚木基地周辺の米空母艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)などによる騒音は周辺住民にとって耐えがたいものになっている。
 東京都環境保全局は、一九九八年九月二九日に「平成九年度東京都内における航空機騒音調査結果」を発表した。その報告書によると、横田飛行場、厚木飛行場について、「改善の傾向は見られず、厳しい状況にある」としている。具体的には、横田基地関連では、固定調査(四地点)のうち、WECPNLが瑞穂では八八、昭島では八二で環境基準を超過しており、「測定開始以降未達成の状況が続いている」ということである。
 また分布調査では、二三地点のうち七地点で環境基準を超過しており、「これは平成五年以降ほぼ同じ傾向にある。超過地点は滑走路の延長を中心として、広範囲の地域に及んでいることから、低空飛行によるものや騒音の大きい航空機の通過によるものと推定される」としている。このような東京都の米軍機の騒音調査結果以外に、本年一月一一日の「神奈川新聞」は、一月に米軍が事前通告なしに行った夜間離着陸訓練について具体的に報道している。その報道によると、横田基地を抱える福生市では「九日、防衛施設庁からNLP実施の通告があった時点ですでに訓練は始まっていた。異例の通告前NLP実施に『実施後の通告や土・日曜日の訓練は、横須賀に空母が配備されて以来初めてのこと。よほど急な空母の出港があるのだろう』と戸惑いを隠しきれない」とか、厚木基地を抱える神奈川県大和市に関しても「間際になってからの通告、しかも土、日曜日をはさんで真夜中までの訓練、硫黄島は使わない・・・。異例ずくめの訓練だ。(大和市基地対策課)」「午後一一時五九分までの訓練なんて、初めてのこと。とんでもない内容だ。(綾瀬市基地対策課)」「最高騒音は、同基地(厚木基地)北側一キロの地点で午後六時一五分に測定された。車のクラクション並みの一一一デシベルだった。一〇日には同地点で、午後五時一九分に一一九デシベルの音が観測されている。訓練終了通告は同日午後一〇時四七分、各自治体に対して行われた。同基地での本格的なNLPは一九九五年三月以来」ということである。
 このような米空母艦載機のNLPに関して以下質問する。

一、横田基地、厚木基地を抱える自治体は、米空母艦載機の飛行訓練をやめるよう要求してきている。平成九年一〇月には、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が「横田基地対策に関する要望書」を政府に提出している。その中で「米空母艦載機飛行訓練を中止すること」を求めているが、政府は米軍に対してどのような措置をとったのか。

二、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会は、米空母艦載機の騒音対策として「二二時から六時までは、飛行、エンジンテスト等を行わないことを徹底するとともに、二一時から七時までも極力行わないこと」を求めている。このような要望はこれまで基地周辺住民、自治体が繰り返し出しているが守られていない。一九九三年一一月八日の「横田飛行場の騒音規制措置に関する日米合同委員会の合意」では、二二時から六時までの間の時間における飛行及び地上における活動は、米軍の運用上の必要に鑑み緊要と認められるものに制限される」となっている。これは米軍が一方的に「緊要」と判断すれば、合意した時間帯に制約されることなしに横田基地での「飛行及び地上における活動」を行えるようになっている。このような日米合同委員会の合意を改めて、「緊要」と認める内容を米軍が一方的に決めるのではなく、日米間の協議による合意事項に改めるべきと思うがどうか。

三、基地周辺住民、自治体は、土・日・日本の祝日、盆、年末年始及び入学試験時期等特別な日における飛行、エンジンテストを行わないことを米軍が実行するよう求めて政府と交渉してきた。米軍はこのような要望に応えるべきである。これまで政府は基地周辺の住民や自治体の要望に応えて、米軍にどの様な措置をとってきたのか明らかにされたい。

四、一九七三年一〇月に空母ミッドウエーは横須賀を母港にしたが、当時外務省は、母港化は「三年」と答弁していた。しかし、母港化は今日まで続き、横田基地ではNLPは、それまでのプロペラの早期警戒機・E2Cに加えて一九九三年からジェット戦闘機についても行われるようになった。環境基準を無視したNLPは、基地周辺住民を苦しめている。
 政府は米軍に対して改めて日本の環境基準を厳守させる措置をとるべきではないか。

  右質問する。