第143回国会(臨時会)
質問第九号
点字による選挙公報発行等に関する再質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十年十月十五日 小川 勝也
点字による選挙公報発行等に関する再質問主意書 政府は、「点字による選挙公報発行等に関する質問」(質問第三号)に対する答弁書(内閣参質一四三第三号。以下「答弁書」という。)で、点字選挙公報発行について「視覚障害者の方々の貴重な選挙権の行使にかかわる問題である」としながら、「現行法上点字による選挙公報を発行することはできない」との見解を明らかにしている。しかし、この政府答弁は公職選挙法の解釈に誤りがあり、また、「限られた期間内に誤りなく点字による選挙公報を調製することができるか・・・技術的な問題があり、これを実現することは現時点でも困難である」との答弁も、技術の進歩に目を向けず、現状認識が不十分と考える。
一、政府は、あるべき姿として、点字による選挙公報の発行が行われた方が良いと考えるか、または、不要と考えるか。 二、答弁書において、「技術的な問題があり」としているが、実現が不可能なほどの、どのような問題点があるのか、具体的に示されたい。 三、答弁書において政府は、「これまでも視覚障害者が公職の候補者又は名簿届出政党等の政策、公約等を知ることができるように、衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙が行われる都度、各都道府県の選挙管理委員会に対して、啓発活動の一環として公職の候補者の氏名、経歴等や名簿届出政党等の政見等を点字で掲載した「選挙のお知らせ版」を視覚障害者等に配布するよう指導してきている」としているが、 (ア) 各都道府県に対し、具体的にどのような形と内容で指導しているのか、通達、通知等の内容を示されたい。また、平成十一年執行の統一地方選挙においてもすでに指導しているのか、あるいは今後その予定があるのか。
四、前回の質問でも指摘したように、政府は、昭和五十年二月二十四日の衆議院予算委員会第三分科会において、点字公報の発行等に関し検討を約束している。さらに「必要な諸条件が整うのを待ちまして実行に移すことを検討する…」(昭和五十二年三月二日、衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会)、「点字の公報は公職選挙法上に明文の根拠があるわけではございません。そういう意味で一種の便宜供与とか啓発とかいう側面を持っていることもまた事実でございます。むずかしく申し上げますよりは、現在のようにいろいろな混合形態ではございますが、実態に即して点字公報が出され、国政の選挙でありますからには、国費の範囲内で賄われていくようにというような姿勢で臨んでまいりたいと思っております。」(昭和五十八年二月二十三日、衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会)、「点字公報につきましては、…その内容の充実につきまして今後とも指導、協力をしてまいりたい…」(平成三年四月九日、参議院文教委員会)等と答弁しているが、「点字公報の発行はできない」とする答弁書の内容と正反対の見解である。国会答弁は誤りであったのか、また変更したのだとすれば、いつの時点で方針を変えたのか。 五、答弁書では「(公職選挙)法第百六十九条第二項の規定により掲載文又はその写しを原文のまま掲載しなければならないとされているため、現行法上これらを点訳して発行することはできない」としているが、点字による原稿をそのまま掲載することを制限する法律等はあるのか。また答弁書では「選挙公報が同法第百七十条第一項の規定により選挙人名簿に登録された者の属する各世帯に配布するものとされていること等からみて、現行法上点字での発行を想定しておらず、これを発行することはできないものと考える」としているが、「法律上想定されていないことはできない」ということの法的根拠を示されたい。 右質問する。 |