質問主意書

第143回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年九月二十八日

大脇 雅子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   公正取引委員会の「著作物再販制度の取扱いについて」に関する質問主意書

 書籍・雑誌、新聞及びレコード盤・音楽用テープ・音楽用CDの再販に関する独禁法適用除外制度(著作物再販制度)の廃止の是非について、公正取引委員会は、本年三月三十一日、「著作物再販制度の取扱いについて」(以下「取扱い」という。)において、「競争政策の観点から、廃止の方向で検討されるべき」としつつ、「廃止した場合の影響について配慮と検討を行う必要がある」旨の基本的見解を明らかにした。
 著作物再販制度は、事業の文化的・公共的使命に鑑み、著作権者保護、著作物の伝播に携わる者の保護のためには不可欠であり、関係団体では、制度を維持すべきであるとの意見が、大勢を占めている。仮に制度が廃止された場合、商品価格等が自由化されることなどにより、一面、消費者利便の向上にはなろうが、創作者、出版社にとっては、より過当な競争を強いられ、結果として作品や情報の質の低下が危惧されることは否めない。
 公正取引委員会は、一定の期間経過後に制度自体の存廃について結論を得ることとしているが、性急な決定は避けるべきであるとの立場から、次の点について質問したい。

一、「取扱い」は、いかなる法的性格の文書なのか、即ち何らかの法的強制力、行政処分性を有する文書なのか、この内容を守らないと再販事業者が何らかの不利益を被ることになるのか否かについて明らかにされたい。

二、再販事業者が、当を得ていないとの判断のもとに、「取扱い」が求める著作物再販制度の維持による弊害を是正する措置を実行しない場合は、公正取引委員会が、著作物再販制度を廃止すべきであるとの結論を得るものと理解してよいのか明らかにされたい。

三、著作物再販品目の範囲の限定、明確化は、独禁法の改正等によって実施するのか否か、また、実施する場合、その時期は何時かについて明らかにされたい。

四、アメリカ合衆国政府の日本に対する規制緩和の要求のなかに、著作物再販制度の廃止があったのか否か、また、あった場合、これに対しいかなる対応をされたのか明らかにされたい。

  右質問する。