第142回国会(常会)
答弁書第二〇号
内閣参質一四二第二〇号 平成十年六月十九日 内閣総理大臣 橋本 龍太郎
参議院議員瀬谷英行君提出大韓航空機事件の真相究明の過程で明らかになった諸問題に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員瀬谷英行君提出大韓航空機事件の真相究明の過程で明らかになった諸問題に関する第三回質問に対する答弁書 一について 米国が有する累積未払い分担金等は、別表のとおりである。 二について 当時、御指摘の自衛隊稚内基地(航空自衛隊稚内分屯基地)においては、稚内分屯基地司令が、米軍人を含め、同基地への出入りを許可していた。当時の稚内分屯基地司令は、村田邦治一等空佐であり、同一等空佐は、当時第十八警戒群に所属していた。 三について 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(組織としての軍隊並びに公務遂行中の個々の構成員及び軍属。以下「米軍」という。)についても、同様である。
四の1について お尋ねの点について、米側に照会したところ、千九百八十七年については、予算の成立が遅れて六週間の暫定予算から支払いが行われたため、分担金のうち一部分しか当該年内に支払いができなかったものであり、また、千九百九十五年については、予算の成立が大幅に遅れたために当該年内に支払いができなかったものであるが、いずれの年の分担金についても、その後支払いは終わっているとのことである。 四の2について 各締約国の国際民間航空機関(以下「ICAO」という。)の分担金の支払いについては、ICAO財政規則(千九百九十六年Doc7515/9)第六条5において、ICAO事務局からの分担金支払通知書の受領から三十日が経過した日又は当該会計年の一月一日のいずれか遅い方の日から全額について支払義務が発生すること及び当該会計年の次の会計年の一月一日現在において当該支払いが未了である場合には、一年間の滞納とみなされることが規定されている。
四の3及び4について 平成五年五月二十八日付けの最終報告書の日本語による交付をICAOに対し請求しなかった理由については、大韓航空機事件の真相究明の過程で明らかになった諸問題に関する再質問に対する答弁書(平成十年五月二十九日内閣参質一四二第一二号。以下「答弁書」という。)の五の1についてで述べたとおりである。また、御指摘の真相究明については、昭和五十八年九月十三日に採択された衆議院及び参議院本会議における大韓航空機撃墜事件に関する決議を受け、答弁書の五の2についてで述べたとおり、政府としては、一貫してICAOを通じての真相究明を促進すべく努めてきたところである。このような政府の対応は何ら批判されるものではないと考えている。
四の5について 海外における邦人の保護については、外務省設置法(昭和二十六年法律第二百八十三号)第四条第九号に「海外における邦人の生命、身体及び財産の保護に関すること」が外務省の所掌事務と規定され、この所掌事務を遂行するため、同法第五条第七号及び第八号に「海外における邦人の生命、身体及び財産を保護するために外国官憲と交渉」することや「日本人の海外渡航及び移住に関しあつせん、保護その他必要な措置をとること」が外務省の権限として規定されている。これらに基づき、政府としては、海外における邦人の保護に最大限努めている。 四の6について 御指摘の調査結果については、答弁書の五の3についてで述べたとおりであり、政府としての調査結果を国会に対し報告する予定はない。 |