質問主意書

第142回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一四二第一一号

  平成十年五月二十九日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員小川勝也君提出建築設備士の資格確立等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小川勝也君提出建築設備士の資格確立等に関する質問に対する答弁書

一について

 建設省においては、昭和五十八年一月の建築審議会答申の趣旨を踏まえ同年に建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)第二十条第三項の規定が新設されたことを受け、同項に規定する「建築設備に関する知識及び技能につき建設大臣が定める資格」を、昭和六十年建設省告示第千五百二十六号により定めたところである。また、これに関連して、当該資格を有する者(以下「建築設備資格者」という。)となるために必要な知識及び技能を判定するための試験の指定(昭和六十年建設省告示第千五百二十八号)並びに建築設備に関する技術水準の向上に対応するために必要な知識及び技能を修得させるための講習の指定(昭和六十年建設省告示第千五百三十号)を行うとともに、建築設備資格者登録規程(昭和六十年建設省告示第千五百二十七号)を定めたところである。
 また、昭和五十九年三月に建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)の一部を改正し、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項に規定する確認の申請書及び同法第七条第四項に規定する届出書の様式において「建築設備に関し意見を聴いた者」の氏名等を記載する欄を設けるとともに、平成九年に建築士法第二十四条の五の規定が新設されたことを受け、建築士法施行規則(昭和二十五年建設省令第三十八号)の一部を改正し、建築士事務所の開設者が建築主から設計又は工事監理の委託を受けたときに建築主に交付するべき書面の記載事項の一つとして、同規則第二十二条の三第一項第四号において、業務に従事する同法第二十条第三項に規定する建設大臣が定める資格を有する者の氏名を規定したところである。

二について

 大規模の建築物等の設計又は工事監理に当たって建築設備に関する専門的な知識及び経験を有する技術者が部分的に活用される場合があるが、その場合であっても、建築物の設計及び工事監理がいずれも建築物全体として一体性を持って行われるよう、その建築物に設けられる建築設備に係る設計及び工事監理についても、その建築物全体の設計及び工事監理を統括する建築士の責任において行われているのが実態であると認識している。
 建築物の設計及び工事監理は建築士の責任において行われるべきものとしつつ、建築設備に関する専門的な知識及び経験を有する技術者の意見を聴いた場合には設計図書又は工事監理報告書においてその旨を明らかにすべきものとしている現行制度は、こうした実態にも即したものであり、御指摘のような「乖離、矛盾」は存しないと考えている。

三について

 二についてで述べたとおり、現行制度は建築物の設計及び工事監理の実態に即したものであり、御指摘のような法制化が必要とは考えていない。

四について

 建築設備資格者の登録の実施に関する事務を行う機関については、「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について」(昭和五十八年五月二十四日閣議決定)の趣旨を踏まえ、行政事務の簡素合理化を図る観からら社団法人建築設備技術者協会としているところであり、これは妥当なものと考えている。