質問主意書

第142回国会(常会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一四二第七号

  平成十年五月十二日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員上山和人君提出地方公務員等共済組合等における現況届に対する市町村長の証明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上山和人君提出地方公務員等共済組合等における現況届に対する市町村長の証明に関する質問に対する答弁書

一について

 現況届は、年一回、受給権者の生存の確認のほかに、就労、家族、障害の状況など年金を支給する上で必要な状況を確認するために、受給権者本人から提出いただいているものであり、保険者と受給権者との連絡の手段として必要なものである。
 国民年金及び厚生年金に係る現況届については、これまで、その提出に際し、受給権者等の生存の状況について市町村長の証明を求めていたところであるが、当該証明を得るために市町村の窓口まで出向くことは受給権者にとって相当の負担であり、市町村における当該証明に要する事務量も大きいため、従来から、受給権者、市町村関係者、国会等から、その改善を要望されてきたところであり、同様の理由で地方分権推進委員会第三次勧告(平成九年九月二日)においても国民年金の現況届に係る当該証明を廃止する旨が盛り込まれたところである。
 このため、平成十年一月から、受給権者に対するサービスの向上、行政事務の簡素・効率化を図る観点から、受給権者等の生存に係る市町村長の証明を廃止し、受給権者本人の自署(当該受給権者が自ら署名することが困難な場合にあっては、代理人の署名)による生存申立てを行うこととすることで、これに代えることとしたところである。

二について

 御指摘の受給権者の反応については、特に調査は行っていないが、今回の措置は、受給権者の負担が軽減すると考えられることから、歓迎されているものと受け止めている。

三について

 国家公務員共済においても、前記一についてと同様の考え方に立ち、平成十年四月から、受給権者等の生存に係る市町村長の証明を廃止し、受給権者本人の自署(当該受給権者が自ら署名することが困難な場合にあっては、代理人の署名)による生存申立てを行うこととすることで、これに代えることとしたところである。
 また、廃止によって現在のところ特段の不都合は生じていない。

四について

 御指摘の受給権者の反応については、特に調査は行っていないが、今回の措置は、受給権者の負担が軽減すると考えられることから、歓迎されているものと受け止めている。

五の1及び3について

 地方公務員共済においては、年金の過払い防止の観点を踏まえ、受給権者の負担の軽減を図るため、現在国会に提出されている住民基本台帳法の一部を改正する法律案における住民基本台帳ネットワークシステムが利用可能となれば、受給権者等の生存に係る市町村長の証明を廃止したいと考えている。
 なお、それまでの間において受給権者の負担を軽減するための方策が可能かどうかについては、現況届に係る事務処理の状況等を踏まえ、幅広く検討してまいりたいと考えている。

五の2について

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案中住民基本台帳ネットワークシステムの稼働に係る改正規定は、同法附則第一条の規定に基づき、同法の公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている。

五の4について

 受給権者等の生存に係る市町村長の証明は、地方公務員等共済組合法施行規程(昭和三十七年総理府・文部省・自治省令第一号)第百五十七条第二項に規定されているところであり、当該証明を廃止するためには当該規定の改正が必要である。

六について

 私立学校教職員共済においては、年金の過払い防止の観点を踏まえ、受給権者の負担の軽減を図るため、住民基本台帳ネットワークシステムが利用可能となれば、受給権者等の生存に係る市町村長の証明を廃止したいと考えている。
 なお、それまでの間において受給権者の負担を軽減するための方策が可能かどうかについては、現況届に係る事務処理の状況等を踏まえ、幅広く検討してまいりたいと考えている。

七について

 農林漁業団体職員共済においては、受給権者等の生存に係る市町村長の証明について、住民基本台帳ネットワークシステムを利用することにより廃止することとしているが、受給権者からの要望等を踏まえ、廃止の前倒し実施を含め、受給権者の負担の軽減方策につき幅広く検討してまいりたい。

八について

 基礎年金番号は、全国民に共通の基礎年金が導入されたことを踏まえ、年金制度運営の適正化・効率化及び加入者・受給権者サービスの向上を図るため、すべての年金制度間で共通に使用できるものとして導入したものである。
 これにより、異なる年金制度間においても同一の番号で加入者や受給権者の記録を把握でき、社会保険庁や各共済組合等の間で円滑な情報交換を行うことができることとなったことから、現在、死亡を理由とする失権等に関する情報の交換を行っているところであるが、今後とも基礎年金番号を活用して、一層の受給権者に対するサービスの向上等に努めてまいりたい。
 しかし、各共済組合等の現況届については、各共済組合等の受給権者のうち、当該共済組合等の給付のみを受け、社会保険庁には現況届を提出していないものが相当の割合を占めていることから、当該受給権者に対し年金を支給する上で必要な状況を確認する等の必要があるため、社会保険庁に提出された現況届によって直ちにこれを廃止できるというものではない。