質問主意書

第142回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

福祉部門への投入に伴う経済効果等と建設効果に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年六月十八日

加藤 修一   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   福祉部門への投入に伴う経済効果等と建設効果に関する質問主意書

 福祉投入の経済効果に関する議論がおこっているが、福祉部門については、従来の経済学の場で語られていた常識から離れるべきである。今日までの経済学は、福祉部門に経済資源がより多く配分されれば、社会全体の生産効率は低下し、さらに経済活力や経済成長力にはマイナスの影響がでると言われてきた。一方、公共事業をはじめとする建設投資は、経済効率を高め、経済効果も大きく経済の活性化に大きな役割を果たすとされてきた。しかし現在はかつての「重厚長大」の時代ではなく、「サービス経済化」の時代であり、成熟した段階である。かかる時代においても従来から言われてきたことが本当に妥当といえるのかどうか。これらに対する政府の認識によって福祉政策のあり方が大きく左右されると考えるので、以上の点について以下質問する。

一、従来型公共投資について

1、経済効果について

(1) 公共事業の建設効果と供用(利用)効果について

 従来から施設の建設に伴う建設効果、物財体系における動きを強調することが多いが、作られた施設が如何に使用されているかの供用(利用)効果こそが重要であり、後者のパフォーマンス(成果)、活動量を重視すべきである。
 サービス経済化の進展などから、建設効果については、乗数が小さくなっているとの指摘を待つまでもなく、相対的に小さくなってきている。

(イ) 従来型公共投資との関連の中でサービス経済化の時代をどの様に認識し、評価しているのか。
(ロ) 先頃「二十一世紀環境委員会」は、緊急に中止・廃止すべき無駄な公共事業マップを公開したが、従来からも会計検査院、総務庁行政監察局が指摘してきている。これらの指摘された事業などは一過性としての建設効果はあったが利用効果がほとんど生じない典型的なケースである。次から次へと無駄が指摘される現状についてどの様に認識しているのか。

(2) 公共投資の無駄、無駄に基づく施設の維持・運営費の増加について

(イ) 緊急に中止・廃止すべき無駄な公共事業マップで指摘された公共投資を見ると、無駄と指摘された施設の維持・運営費がカットされるのではなく、依然として計上が避けられない状況にある。いつまでも同様な繰り返しが生じないように行政監視委員会に報告する、また「時のアセスメント」の適用など行政監察のシステムを改革することが重要である。見解を示されたい。
(ロ) 道路・鉄道や港湾、ダム、下水道、住宅などの国民生活や経済活動に不可欠なものを整備していく事業が公共事業であり、国・地方自治体、公団などを合わせて年間約四十兆円の公共事業が行われている(一九九八年度当初予算ベース)。公共事業の中には、どうしてこの事業に巨額の税金をつぎ込むのか国民から見て理解できないものがたくさんある。例えば、数十億円かけても週一回、小型飛行機が飛ぶかどうかという農道空港、数百億円かけたが大型船がめったに入港せず、多くの釣人が押し寄せる港などがある。使われない空港、港湾をいくらつくっても、生産や社会に寄与しないことは自明である。つまり利用効果がゼロに等しい。ケインズが「穴を掘って、埋めなおしても効果がある」と述べてはいるが、限界効用として、より高いものを目指すことを考えるとおかしな話である。またこれは機会費用を考えると意味が小さい問題でもある。そこには「国民のための事業」という視点が忘れられている。加えて日本の公共事業の単価(コスト)は、国際比較で三割、国内の民間事業に比べても二割以上、割高だという調査があり、それほど必要としない工事を割高にやることは、無駄そのものである。現世代のためにも、未来世代のためにもならない。公明は、こうした税金の無駄遣いと思われる公共事業の徹底した見直しやコストの引き下げで、年間七兆円程度、節約できると試算を行っているが、この種の公共部門の無駄の試算があれば示すとともに、これについての政府の見解を明らかにされたい。
(ハ) もう一つ、大きな無駄遣いがある。特に必要でないさまざまな規制をつくって、その維持のために多くの特殊法人などに巨額な出資金や補助金が出ている。先日の石油開発公団の約一兆円の不良債権はいかに放漫経営をやってきたかを示しており、無駄につながるものである。こうした行政の無駄をなくす行政改革や規制緩和で年間三兆円は削減できると試算を行っているが、これについても試算があれば示すとともに、これについての政府の見解を示されたい。
(ニ) 以上、多くの無駄を避けることによって年間十兆円程度の財源の確保が試算されている。ところで政府においても行政改革等に伴う明確な削減効果と具体的な削減プログラムを示すべきである。これについての見解を示されたい。

二、経済循環における福祉投入の意義について

1、福祉投入の経済効果について

(1) 社会保障制度と経済の非活性化にかかる誤謬について

 社会保障による分配面への政府の介入の影響を調べた論文によると、社会保障に力を入れているスイス、ルクセンブルク、スウェーデン、フィンランド、日本、デンマーク、ノルウェー、西ドイツ、アメリカ、カナダは、一人当たりの国民所得が最近十年間以上にわたり、ほぼ十位以内を保っている。「企業の自主努力」により企業の活性化を進ませながら同時に社会保障を積極的に整備してきた経済では、国民は先行きの不安感を持たずに生産・労働に参加でき、これは、経済活力を保ち続けることができる大きな要因である。従来から言われているイギリスの斜陽についての巷間の説は、「社会保障制度を整備した国の代表はイギリスである。イギリスの経済力は著しく弱体化した。ゆえに、社会保障は経済活力を低下させる」式の論法であるが、厚い社会保障政策が経済にマイナス要因になるとの考えは成立しない、というのが最近の研究成果であり、私の考えである。イギリスの経済活力の低下と社会保障制度との関係についての見解を示されたい。

(2) 新社会資本の概念について

(イ) 新社会資本は、一九九二年春・夏に続く経済対策の中で建設国債の対象を広げる議論の中から現れた。九三年四月の総合経済対策として、従来からの道路、港湾、空港などを中心とした公共施設・基盤に対し、光ファイバー等の次世代情報通信網、公共セクター情報化、教育・研究施設、医療・福祉施設などに関連した分野が「社会資本整備の新たな展開」という形で整備対象に盛り込まれている。しかしその概念や範囲は明確に規定されているわけでない。新社会資本の位置づけを明確にすべきであると考えるが見解を示されたい。
(ロ) 新社会資本として福祉、情報化、環境ビジネス、新エネルギーなどを考え、これに係る新規産業の強化をめざして予算の重点化、傾斜配分を行うべきである。とりわけ、福祉に関するサービスについて積極的に対応すべきであると考えるがどうか。

2、公明提言の「スーパーゴールドプラン」について

 公明は結党以来、福祉制度の拡充を常に主張してきており、福祉の党を自負してきた。この度、介護保険事業が円滑に推進されるように新たな介護基盤整備計画を「スーパーゴールドプラン」と命名し、「介護保険制度の安定運営に関する提言」(一九九八年六月)を発表した。
 現行の新ゴールドプランは事業の前倒しで完全実施を目指し、基盤整備の地域差を勘案の上、二〇〇〇年からの介護保険事業計画が円滑に推進されるよう新たな介護基盤整備計画(スーパーゴールドプラン)を早急に策定することが重要である。
 スーパーゴールドプランでは、二〇一〇年の要介護者等が推計三九〇万人と見込まれることから、特別養護老人ホームなどの拠点施設を全市町村に整備するのをはじめ、ホームヘルパー一六〇万人、住宅介護支援センター三万カ所とするなど、介護需要に十分見合うだけの整備目標を設定し、先行き不安の現在、国民に社会保障等の整備について最大限努力をしていく、との明快なる安心のシグナルを示すべきである。本質問主意書の論旨全体を踏まえて公明の「介護保険制度の安定運営に関する提言」に対する政府の率直な見解を示されたい。

三、福祉投入と建設投資(公共事業)の経済効果の比較分析

 日本の総人口に占める六十五才以上人口は平成七年に十四・五%(約七人に一人)に達した。高齢化社会の日本経済に与える影響は、労働力人口の減少や、生産年齢の上昇といったマイナス面が強調されがちであるが、少子・高齢化社会においては、「福祉は経済のお荷物」的な発想を転換して、福祉の本来的充実が経済成長にも十分貢献し得るかどうかについての比較分析について質問する。

1、各種計量経済モデルによる福祉・建設部門等の比較分析について

(1) 「平成二年全国産業連関表」による産業連関分析について福祉部門に最終需要額一兆円を、一方同様に建設部門にも最終需要額一兆円を投資した結果、以下の数値計算結果が導き出されている。

表-1 全国への生産波及効果(各々一兆円投入の場合)

表-2 全国で創出される雇用効果(各々に一兆円の投入の場合)

 生産波及効果については福祉部門が一千億円ほど公共部門より少ない程度であり、従来の常識とは異なる結果である。また、雇用創出効果については、その差が八万三〇七〇人で福祉部門の方が非常に大きい効果がある。
 以上の分析について政府の見解を明快に示されたい。

(2) 「平成二年大阪府産業連関表」による産業連関分析について

 「平成二年大阪府産業連関表」の福祉部門(=社会保障部門)、医療・保健部門、そして建設部門との三部門の経済効果をそれぞれ千億円づつ投入して比較分析すると、三者の中で社会保障部門の経
済効果が最も大きく、建設部門の効果が最も小さい結果になっている。

表-3 各々千億円の投資効果の比較(大阪府)

 生産波及効果については、明らかに従来からいわれている経済学の常識とは異なるといってもよい経済効果である。また、雇用創出効果については、社会福祉が大変大きい。地域に対しての雇用機会を与えることになる。福祉部門は人を介助するサービスが伴う特色を持つため、地方の人々にもサービスを与える人が必要となる。その結果中央に投入が集中しないことから、地方にも雇用効果が発生することにもなる。この効果が期待できることは、地方の時代にふさわしい、と言うことができる。
 以上の分析結果について政府の見解を明快に示されたい。

(3) 「新ゴールドプラン」の目標計画値の投入による産業連関分析について

 「平成二年全国産業連関表」による「新ゴールドプラン」と従来の公共事業(建設部門)の経済効果との比較分析を評価してみる。

表-4 新ゴールドプランと公共事業の経済効果比較

 生産波及効果については、一次的効果、最終的効果について公共事業の方が優位な経済効果を示している。しかし、問題は粗付加価値の大きさである。GDPを構成することに匹敵する実質的な効果である粗付加価値誘発額については、一次的効果、最終的効果にいたるまで新ゴールドプランによる効果の方が上回っている。
 以上の分析結果について政府の見解を明快に示されたい。

2、「新ゴールドプラン」の目標計画値の投入によるマクロ計量経済モデル分析について

(1) 新ゴールドプランがGDPを押し上げる効果は、生産関数に、就業者数および民間資本ストックを代入することで得られる。その結果、二〇〇〇年時点では、公的介護が全く無い場合のGDPは五一三・五兆円となるのに対し、新ゴールドプランが達成されると五一四・七兆円となり、額にして一・二兆円、率にして〇・二四%のGDPの差が生じる。一九九六年から一九九九年までについても同様に推計をして、合計すれば、新ゴールドプランの五年間にGDPを約五兆円増やすことになる。これが、供給サイドから見た新ゴールドプランの投資効果である、との報告がある。「新ゴールドプラン」による相当量の労働力創出は明確になり、生産力の増強、労働供給増によるGDPの増加にもつながっている。ここには福祉の投入による大きな経済効果が示されているのである。
 以上のように「平成二年全国産業連関表」(総務庁発行)に基づく研究成果は高齢化社会に向けて福祉投入の経済的効果の視点から極めて重要な結論を費用対効果として具体的な数量関係に基づいて示すことができている。明らかに従来の経済学で言われてきた「常識」を崩す一つの結果である。以上の定量的結果と評価によると、従来から公明が福祉政策を大きな柱にして「福祉の達人」といわれることにもなった政策展開と数多くの実績は、経済的検証、しかも以上のような定量的な論拠の一つをあげることによりその根拠が明確になったと考えられる。更に今後の超高齢化社会への移行がハイスピードであることを考えると、公明が進めてきた政策の取り組みは、極めて先駆的であったともいえる。

(イ) これらの分析は、これまで非能率とされてきた福祉に経済システムの側からアプローチする必要性を指摘しており成熟社会の経済分析のあり方に一石を投じていると考えられるが、政府の見解を示されたい。
(ロ) 福祉部門を経済社会の産業循環のなかにどの様に位置づけて考えているのか、また福祉部門の役割をどの様に評価しているのか。
(ハ) 今後の福祉部門の強化、とりわけ福祉サービスに関する積極的な政策展開に向けた明快な見解を示されたい。

(2) 景気対策としての福祉政策財政の景気調整機能を考える際によく乗数効果が問題となる。対象として福祉投入と公共事業の二つを取り上げた場合、景気調整についてはこれまで公共事業が主として使われてきたが、これまで述べたように、両者の支出規模が同等である時に、公共投資の方が効果が高いと判断することは疑問である。従来、公共事業は社会資本の整備を通じて産業基盤を整え、産業の生産性を高めるという判断があったが、福祉政策も生産性向上と言う面からみても社会の生産性の向上に貢献している。老人介護がほとんど家族によって行われていることを考えると、新ゴールドプランが予定通り実施されたとしたならば家庭内労働を解放し産業社会に労働力を供給することが可能となる。この新規の労働力は経済の成長に寄与するポテンシャルを高めることができる。従って福祉も十分景気に対して対策の一つになると考えることができるが、見解を示されたい。
(3) 地方の役割分担と地方の時代福祉サービス等には、地方分権、地方定住と雇用機会の創出効果につながるポテンシャルがある。これは地方において一定の労働力を必要とするものであると同時に、人口定住につながることを示していると考えられるが見解を示されたい。またそれに即応する供給を考えると、地域住民の欲求充足をめざしての整備が必要と考えるがどうか。
 また労働力の需要の発生、地方定住が必要となるが、種々の効果的な行政需要の発生、対応を考えると、地方の役割分担の拡充が前提になると考えるが見解を示されたい。

3、右記に関連した従来の政府答弁について

(1) 国民生活・経済調査会における見解について国民生活・経済調査会(一九九八年五月十一日)において、「私どもの認識と致しまして、これらの論文につきましては、社会保障の規模の増大に伴い社会保障が以前にも増して多くの局面で経済に影響を及ぼしている中で、福祉の充実が必ずしも経済にとって阻害要因となるわけではなく、積極的に貢献する面があるという立場から分析を行っている。」(厚生省)、「全国表と同様様々な前提条件を設定して使用されておりますので、前提条件の置き方が異なれば異なった生産波及の効果等が算出される、こういうことでございます。いろいろな推計あるいは分析につきましてはさまざまな前提条件を設定して試算されておりますので、その前提条件の置き方が異なれば異なった結果になると、こういうことでございます。条件としましては、例えば生産能力に限界がないというようなことあるいは過剰在庫がないとか、こんなことでございます」(総務庁)との答弁があった。

(イ) 「(論文は)積極的に貢献する面があるという立場から分析を行っている」という点をことさら強調する答弁になっているが、種々の論文の分析結果により、福祉の充実が経済に積極的に貢献することは明らかだと考えるが見解を示されたい。
(ロ) 政府は、どのような前提条件を設定し、分析の結果どのような判断に至っているのか。分析を行っていない場合には、種々の論文における前提条件等を問題にする前に、早急に政府としての判断を明らかにすべきと考えるがどうか。
(ハ) 「前提条件の置き方が異なれば異なった結果になる」と答弁しているが、前提条件と建設投資と比較して、部門別の経済効果が逆転するようなケースがあるのか、またいかなる前提条件を想定して、ことさら条件にこだわって答弁しているのか。前提条件の詳細を示されたい。
(ニ) 従来の経済の「常識」を崩す結論が出ているように考えられるが、このような結論についてはどの様に評価しているのか。

(2) 橋本総理、小泉厚生大臣の本会議における見解について

 橋本総理は一九九八年五月十三日の本会議において、「福祉等の社会保障制度は、国民への購買力の付与や新たな産業、労働需要の創出を通じて、経済の発展に積極的な役割を果たす面もあると考えておりますが、一方では、少子・高齢化の進展に伴い社会保障に係わる費用の増大が見込まれる中で、経済と調和した社会保障制度を構築していくため、制度の効率化などに取り組んでいく必要があると考えております。」と答弁し、小泉厚生大臣は「福祉の経済効果、投資であるというお話ですが、私は両面あるんじゃないか。福祉の財政支出は雇用創出効果もあると思います、確かに。一方では、社会保障給付費の増大が国民負担の増大となって、経済の活力を失わせる面もある。両面があるのではないか。いずれにおいても、制度の効率化、合理化を図っていく必要があると思います。」と答弁している。
 これらは特定の研究成果に基づいた質疑に対しての政府答弁である。従来からの政府答弁からは多少踏み込んだ内容であると思われるが、橋本総理、小泉厚生大臣の答弁の文脈を精査すると必ずしも福祉投入に関して新しい位置づけに基づく明快なものではない。

(イ) 「経済の発展に積極的な役割を果たす面もある」との答弁における「積極的な役割を果たす面もある」について、両者を比較して具体的な見解を示されたい。
(ロ) 「経済と調和した社会保障制度を構築していくため、制度の効率化などに取り組んでいく必要がある」としているが、具体的な効率化のスケール、手続、スケジュールを明確に示されたい。
(ハ) 「社会保障給付費の増大が国民負担の増大となって、経済の活力を失わせる面もある」との答弁において、経済活力を失わせる増大の程度をいかなる尺度にもとづいて、いかなる具体的な数値を想定しているのか、具体的数値を示して定量的な見解を示されたい。
(ニ) 「いずれにおいても、制度の効率化、合理化を図っていく必要がある」としているが、「制度の効率化、合理化」についていかなる尺度に基づいて費用対効果等を考え、いかなる状況をもって効率化、合理化と考えるのか、見解を示されたい。

四、行政効果を明確に表現できるツール(用具)の研究・開発・導入

 先に成立した「中央省庁等改革基本法」の第四十六条に費用効果分析の文言があり、今後の導入が明記されている。
 右記に述べたように(特殊法人も含めた)行政効果の定義、過去のPPBS等の研究成果を今こそ適用すべきではないか。行政の裁量性の回避のためにも、行政のアカウンタビリティーの確立を目指していくことが時代の要請である。

1、費用対効果など行政効果を客観的に評価する指標の作成について

 従来から多くの研究が政府研究機関においてもされているところであり、いよいよ具体的に導入すべき時代である。行政事業との関係に基づく社会指標体系、福祉指標体系、施策プログラム、アクティビティに対応して行政のモニタリングや行政のアカウンタビリティーの観点から左記のような客観的な指標を作成して、行政監視委員会などに自主的に報告すべきであるがどうか。
<パフォーマンス指標、社会指標(例)>
・交通事故発生(件数/年)、火災発生(件数/年)、犯罪検挙率(%)、不法投棄発生数(検挙数/年)
・インターネット利用人口(人/年)、普及率(世帯%/年)、光ケーブル延長距離(km)、
・低公害車普及率、新エネルギー利用率(太陽光発電導入数・世帯率)、鉄道など大量輸送機関利用率
・政府関係事業所などのISO14000シリーズの取得数(普及率)、省エネルギー効果、総エネルギー収支の削減効果(削減量万KW時/年・地域ブロック、削減量%/年)など

2、政策数値目標の設定とパフォーマンスの評価体系の構築及び未達成の場合の事由公表

(1) 政策ごとに目標値(右記の例示指標等)を示し、パフォーマンスの評価体系の構築を図り、できないときにはその事由を国民に分かりやすく明確に公表することが必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
(2) 社会指標群の統合化と地域ブロック別行政効果評価システムの構築
 行政効果にかかる社会指標群を総合的に扱い社会の状況を平易に示すことが重要である。そこで地域ブロック(北海道、東北など)別に行政効果を評価するシステムを研究・開発し、実施すべきであると考えるがどうか。

3、福祉・医療分析志向型産業連関表の作成と分析産業連関分析には、連関表が基本的に持つ種々の前提条件があるが、福祉・医療についての経済効果を、今以上に精緻に分析する必要性を考えると、産業連関表を作成する際に、データ収集の段階からこの分野の経済効果等の解析をめざしたアクティビティを正確に意識してひろいあげるべきと考えるがどうか。
 先に成立した「中央省庁等改革基本法」の第四十六条に費用効果分析の文言と今後の導入が明記されていることや、福祉投入は国家の一大政策であることを考え合わせると、福祉投入について費用対効果をより客観的に示すことができるツールの整備も重要であると考えるがどうか。

五、公共事業投資である道路投資の評価について

 わが国の道路投資額は年間二兆七千億円に及び巨額であるが、投資に際しての評価方法は必ずしも明確ではないように思われる。

1、我が国における道路投資評価方法の現況について示されたい。
2、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ等における評価方法についてどの様に認識しているのか。
3、我が国においても、現在具体的な道路投資評価方法を導入して道路建設を行っているのか。行っていない場合、何故そのような方法を採用しないのか。また、今後採用することを検討しているならば、何年度から導入する予定で、いかなる方法を検討しているのか。レポート等があればその題名、提出年月日、作成部局名等を示されたい。

  右質問する。