第142回国会(常会)
質問第一六号
納税者の権利憲章に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十年五月二十七日 山口 哲夫
納税者の権利憲章に関する質問主意書 平成十年四月八日の参議院予算委員会において、「G7の国の中で納税者権利憲章等を持たない国は、日本とイタリアの二国だけである」旨を指摘したところ、松永光大蔵大臣から、「憲法、国税通則法等により、納税者憲章等のある国と同等の権利が保障されていると理解している」旨の答弁があり、重ねて「日本の租税法では更正請求、更正決定など事後の手続は述べられているが、肝心の申告、調査、課税処分の手続等、事前手続については全く定められておらず、課税庁である国税庁と納税者との間のトラブルの多くが事前手続にあることを認識し、先進資本主義国の中で最も遅れている納税者の権利を法律をもって定めるべきである」旨の質問を行ったところ、尾原榮夫大蔵省主税局長は、「一つの法令等にまとまったものがないという指摘は、そのとおりだが、納税者の権利は憲法及び法律の規定等で既に保障され、加えて我が国の税務行政は権限の範囲内で納税者の権利保障に十分配慮しながら適正に行われていると考えており、改めて納税者権利憲章等を制定する必要はないと認識している」旨の答弁を行っている。
一 納税者の権利憲章等で定められているような納税者の権利については、憲法及び法律の規定などによって既に保障されているとしているが、国税通則法その他各種租税法で定められているのは更正の請求、更正決定の手続等事後手続についてであり、所得税法、法人税法及び相続税法などで規定する質問検査権の行使にあたって、事前手続は定められていない。各種租税法等で、税務調査手続について事前手続が具体的に記されているのであれば、 その法律名と条文を示されたい。 二 一般に納税者の権利憲章と言われているのは、先進諸国において納税者の権利保護を目的として法律又は公文書(国民に発表するもの)の形で制定、公布されたものであり、具体的には次のものである。
イ 丁重かつ配慮ある対応
これらの項目が具体的に定められている租税関係法規があるとすればその法律名と条文を示されたい。例えば国税通則法第一六条第一項第一号の申告納税方式のなかに上記イ、ロの趣旨が含まれていると理解してよいのか。含まれていない場合は、これらの趣旨が含まれている法律名と条文を示されたい。
二 我が国の経済は先進資本主義国の仲間入りをしているが政治は後進国であると言われており、その典型例として「納税者の権利の問題」がある。主権在民という現行憲法、法制下では、納税者・国民が主人公であると同時に国家財政を支えている主人公そのものなのである。納税者が気持ちよく税金を納め国を支えるという方向にするために、納税者の権利憲章の法制化は急務であると考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |