質問主意書

第142回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

自動二輪車の免許制度及び交通にかかる規制緩和に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十年五月十八日

木庭 健太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   自動二輪車の免許制度及び交通にかかる規制緩和に関する質問主意書

 近年、自動二輪車の利用者が増加しているにもかかわらず、その交通事故死者数は、平成六年以降減少傾向が続いている。
 このような中、米国及び欧州から、日本の自動二輪車の免許制度及び交通にかかる規制緩和の問題提起がなされていることも踏まえ、次の事項について質問する。

一 日本においては、大型自動二輪免許を取得するためには、より難しい技能試験に合格しなければならない。自動二輪免許を排気量四百一ccをもって、大型自動二輪免許と普通自動二輪免許に区別している理由・根拠を示されたい。仮に、その主たる理由が事故の頻度とするなら、自動二輪車の事故の頻度とエンジンの大きさには何ら相関関係がないものとして、大型自動二輪免許を取得するために、特別な技能試験を課していない米国の判断とは異なる結果になる。日本では、大型自動二輪車と普通自動二輪車の間に事故の発生件数について大きな差はあるのか。

二 日本の高速自動車国道及び自動車専用道路(以下、高速道路と言う。)は、一般道路より曲線路の視距離が良好かつ高い安全性で設計され、自動二輪車の事故発生件数・率が他の車種と比較して少ないとされているにもかかわらず、自動二輪車の二人乗りを禁止している。一方、交差点や通行人が多く、交通の流れがより複雑かつ危険な一般道路における自動二輪車の二人乗りは許可している。日本の高速道路における自動二輪車の二人乗りを禁止する具体的理由・根拠は何か。
 また、日本以外の多くの先進国は、自動二輪車が構造上の安全性を具備し、製造されていること、そして、免許要件において運転技術の確保が担保されていること等により、高速道路における自動二輪車の二人乗りを許可していると聞くが、その実情はどのようなものか。

三 日本の高速自動車国道における法定最高速度を、大型自動車及び普通自動車については、時速百キロメートルと規定しているのに対し、自動二輪車については、時速八十キロメートルと異なる法定最高速度で制限している。その具体的な理由・根拠は何か。さらに科学的データ等を示し、説明を求める。
 また、日本以外の多くの先進国は、高速道路における車種別の法定最高速度を設けると、その差が円滑な車両の走行に支障を来し、事故発生の誘因となること等から、高速道路における大型自動車及び普通自動車と自動二輪車の法定最高速度は同一としていると聞くが、その実情はどのようなものか。

四 法定最高速度を遵守する、後方投影面積の小さい自動二輪車の運転者は、高速自動車国道において、後ろから来る大型自動車及び普通自動車に追い越され、常に追突の恐怖にさらされている。大型自動車及び普通自動車と自動二輪車に異なる法定最高速度を規定していることは、生命の危険性を助長することにはならないのか。異なる法定最高速度を規定する方が安全であると認識しているのなら、その具体的理由・根拠は何か。さらに科学的データ等を示し、説明を求める。

五 自動二輪車の免許制度、日本の高速道路における自動二輪車の二人乗りの禁止及び高速自動車国道における大型自動車及び普通自動車と自動二輪車の異なる法定最高速度について、このような矛盾・問題点を抱えた日本の交通規制に対し、その是正を速やかに行うべきではないか。政府の見解を求める。

  右質問する。