第141回国会(臨時会)
第百四十一回国会答弁書第一三号
内閣参質一四一第一三号 平成十年一月三十日 内閣総理大臣 橋本 龍太郎
参議院議員上田耕一郎君外一名提出シベリア抑留者に対する「未払い賃金」の補償措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員上田耕一郎君外一名提出シベリア抑留者に対する「未払い賃金」の補償措置に関する質問に対する答弁書 一の1について いわゆるシベリア抑留者が過酷な条件の下で大変苦労したことは政府としてよく承知している。しかしながら、政府としては、いわゆる労働証明書に関しては、このような証明書を発給するか否かは抑留国であるロシアの問題であり、本証明書に基づき抑留者の所属国である我が国が当該抑留者に対して労働賃金の支払を行わなければならないという国際法上の義務を負うことはないと考えている。 一の2について 戦後処理問題については、昭和五十七年から二年半にわたって戦後処理問題懇談会が検討を重ね、昭和五十九年に報告を出したところであり、政府としては、この報告の趣旨に沿って、「平和祈念事業特別基金等に関する法律」案を提案し、昭和六十三年に同法の成立をみたところである(昭和六十三年法律第六十六号)。シベリア抑留者に対しても、同法に基づき、慰労金の支給、慰労品の贈呈等を行ってきたところであり、政府としては、今後とも、同法に基づいて慰藉事業を適切に推進することにより、関係者の心情にこたえてまいりたい。 二について シベリア抑留者に関し、諸外国が元捕虜であった自国民に対し採っている補償措置について、改めて調査したところ、平成元年四月十八日のシベリア抑留訴訟(昭和五十六年(ワ)第四〇二四号外三件)第一審判決において述べられている補償措置以外のものは確認できなかった。
三について 旧ソヴィエト社会主義共和国連邦(以下「旧ソ連邦」という。)の地域において抑留中に死亡した日本人(以下「抑留中死亡者」という。)の遺骨収集については、これまで、所要の予算を確保しており、平成九年十二月末現在で、遺骨収集が可能な埋葬地のうち七十六箇所において六千三百十一柱の抑留中死亡者の遺骨を収集したところであり、今後とも遺骨収集の円滑な実施に取り組んでまいりたい。 四について 墓参に参加する抑留中死亡者の遺族に対しては、旅費の一部の補助等を行っているところであり、今後とも、遺族及び関係者の心情を勘案しつつ、ロシア政府を始めとする旧ソ連邦諸国の政府の協力も得ながら墓参の円滑な実施に取り組んでまいりたい。 |