質問主意書

第140回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一四〇第一八号

  平成九年七月十八日

内閣総理大臣 橋 本 龍 太 郎   


       参議院議長 斎 藤 十 朗 殿

参議院議員上田耕一郎君外一名提出圏央道高尾山トンネル掘削による自然破壊に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君外一名提出圏央道高尾山トンネル掘削による自然破壊に関する質問に対する答弁書

一の1について

 首都圏中央連絡自動車道(以下「圏央道」という。)の高尾山トンネルの建設予定地において平成六年八月から平成七年四月までの間に行った水平ボーリング調査(以下「本件ボーリング調査」という。)における水量試験の結果、ボーリング開始地点を起点とする水平深度三百二十五・四メートルから三百四十・四メートルまでの区間において、一メートル当たり毎分三・二一リットルの出水を確認している。この出水の量は他のトンネルの施工の際のものと比較しても極めて少ないことから、高尾山トンネルの施工に伴う大量の出水の可能性は低いと判断したものである。

一の2について

 これまでの調査によっては、高尾山トンネルの建設予定地における地下水の水位を個別の地点ごとに予測することはできない。

一の3について

 高尾山トンネルにおける出水の程度については、現在その予測のための調査及び検討を行っているところである。

一の4について

 本件ボーリング調査における水量試験においてボーリング開始地点を起点とする水平深度三百二十五・四メートルから三百四十・四メートルまでの区間で確認された地下水は、東京都環境影響評価条例(昭和五十五年東京都条例第九十六号)第二十三条の規定に基づき東京都が作成した「環境影響評価書-首都圏中央連絡道路(一般国道二十号~埼玉県境間)建設事業-」において記述されている「岩盤深部の地下水」に相当し、ほとんど停滞しているものと考えられる。

一の5について

 本件ボーリング調査におけるボーリング柱状図のデータについては、平成八年八月一日に、建設省関東地方建設局相武国道工事事務所が作成した「首都圏中央連絡自動車道(都内区間)高尾山トンネル施工計画用地質調査(水平ボーリング調査)の結果について」において公表している。
 なお、本件ボーリング調査においては、ボーリングの工法上の技術的制約から、建設省土木研究所が作成した「ボーリング柱状図作成要領(案)」に掲げられた項目のうちコアの長さに係るものに関するデータは得られていない。

二について

 高尾山トンネルの構造、施工方法等の詳細については現在検討中であり、同トンネルの具体的な施工計画がまとまった段階で公表する予定である。
 なお、高尾山トンネルの建設予定地には大規模な破砕帯を伴う断層が存在しないことから、同トンネルの建設に伴う地下水への影響は小さいものと考えられる。

三の1及び2について

 高尾山トンネルの建設予定地には大規模な破砕帯を伴う断層が存在しないことから、同トンネルの建設に伴う地下水への影響は小さいものと考えられる。
 なお、高尾山トンネルの構造、施工方法等の詳細については現在検討中であり、同トンネルの具体的な施工計画がまとまった段階で、同トンネルの建設に関し自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第四十条第一項に基づき東京都知事との協議を行う予定である。

三の3について

 今後必要に応じ高尾山トンネルの施工方法を検討するためのボーリング調査を行う方針であるが、「環境影響評価書-首都圏中央連絡道路(一般国道二十号~埼玉県境間)建設事業-」は前の沢付近において実施したボーリング調査の結果を踏まえて作成されたものと承知しており、前の沢付近における地下水への影響を改めて調査する計画はない。

四の1について

 圏央道の一般国道二十号から埼玉県境までの区間については、平成十二年度における供用の開始を目途に事業を進めている。また、平成十二年における自動車保有台数を基にした同区間の交通量を改めて予測することはしていない。
 なお、東京都環境影響評価条例第二十三条の規定に基づき東京都が作成した「環境影響評価書-首都圏中央連絡道路(神奈川県境~一般国道二十号間)建設事業-」においては、平成二十二年における自動車保有台数を約七千三百万台と、圏央道の交通量を八王子南インターチェンジ以北で一日当たり四万三百台とそれぞれ予測しているものと承知している。

四の2について

 (仮称)新滝山街道は一般国道四百十一号のバイパスの機能を有する道路であり、(仮称)新滝山街道における交通は一般国道四百十一号からの転換交通となると考えられることから、(仮称)新滝山街道の建設に伴うあきる野インターチェンジにおける出入り交通量及び大型車混入率の変化は小さく、したがって、圏央道の建設に伴う環境への影響の程度が(仮称)新滝山街道の建設に伴って大きく変化することはないものと考えられる。

四の3について

 今後とも、東京都環境影響評価条例に基づく事後調査を行っていくこととしている。