第140回国会(常会)
答弁書第一一号
内閣参質一四〇第一一号 平成九年六月十九日 内閣総理大臣 橋本 龍太郎
参議院議員上田耕一郎君外一名提出古紙価格の大暴落への対策と古紙リサイクルに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員上田耕一郎君外一名提出古紙価格の大暴落への対策と古紙リサイクルに関する質問に対する答弁書 一について 平成三年から平成八年までの我が国の紙・板紙の輸入量及びそれぞれの国別の内訳については別表第一、第二、第三のとおりである。また、そのうちの新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙の量については別表第四、第五、第六のとおりである。 二について 平成三年から平成八年までの我が国の紙・板紙の生産量は別表第七のとおりである。また、そのうちの新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙の量及び古紙投入量については別表第八のとおりである。 三について 政府が紙の輸入制限を行い、輸入量を削減することは、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO協定)における千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定(ガット)第三条の「内国民待遇の原則」に反することとなり、政府としては、このような措置を採るつもりはない。 四について 古紙利用率が微増にとどまっている要因としては、省包装化等により古紙を多く利用している板紙製品の生産量が伸び悩んだこと、紙の利用者の古紙利用製品の購入量が伸び悩んだことなどが考えられる。
五について 我が国の古紙利用率は世界的にも最高水準にあるが、更に古紙利用率を向上させるため、古紙の使用量を拡大することは重要であると考えており、通商産業省としても、古紙利用率の目標、古紙の利用設備の整備、技術の向上、古紙利用計画等を定めたリサイクル五十六計画を制定したところである。 六について 古紙の価格は市場において決定されるべきものであり、政府が市場に対して介入し、価格維持などを行うことは適切ではないと考える。 七について 現在、教科書においては表紙や口絵などに再生紙が使用されている。さらに、環境教育の推進の観点から、本文用紙も含めた教科書への再生紙全面使用について、関係業界に対して積極的に取り組むよう要請しているところである。 八について 古紙利用を更に促進することは重要であると認識しており、政府としても、再生資源促進法を踏まえ、再生紙の普及啓発事業への支援等を行っているところである。しかしながら、御指摘のような規制等は紙の利用者の自由な選択への介入となることから慎重な検討を要する。 九及び十について 古紙余剰対策としては、古紙の製紙原料以外への利用を促進することも重要であると考えており、アスファルトに古紙を混入させた場合の耐久性等の効果の検証等を行うなどの研究開発に対して支援を行っているところである。これらの研究成果が普及すれば、年間数十万トンの古紙の利用量になるものと期待しており、今後は、研究開発成果の普及促進を強化していくこととしている。 |