質問主意書

第140回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一四〇第九号

  平成九年五月三十日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員栗原君子君提出予備費使用の国会承諾に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員栗原君子君提出予備費使用の国会承諾に関する再質問に対する答弁書

一について

 「予備費の使用について憲法が明文で『国会の承諾』を要求しており、『両議院の承諾』あるいは『各議院の承諾』としていない以上、『両院関係のある議案』として提出することは、内閣の当然の責務であり、疑問の余地のないものと考えるが、どうか。」との御質問については、政府としては、さきに答弁したとおり、これまで、予備費使用の事後承諾案件につき、憲法第八十七条第二項の「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との規定及び財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十六条第三項の「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」との規定に基づき、国会の承諾を得るため、先例を踏まえ先に衆議院に提出するとともに、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第五十八条の規定に基づき、予備審査のため参議院に同一の案を送付しているところである。

二について

 「予備費の使用」とは、具体的には、特定の経費の財源に充てるため予備費から財源を出して新しい項の経費の金額をつくり、又は既定の項の経費の金額を追加し、その経費の金額について財政法第三十一条第一項に定める予算の配賦があったと同様の効果を生じさせることをいうものと理解している。

三について

 予備費の制度は、国費を支出し又は国が債務を負担するには国会の事前議決を必要とするとの原則に対する例外であり、憲法第八十七条第二項の「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との規定及び財政法第三十六条第三項の「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」との規定に基づいて、内閣の責任において行われた予備費の支出について、事後に国会の承諾を得ることが義務付けられているものと理解している。政府としては、この国会の承諾を得るため、予備費使用の事後承諾案件を国会に提出しているところである。

四について

 御質問の「国家公務員等の任命について同意を求める案件」については、それぞれの根拠法において「両議院の同意」と規定されていることは承知している。
 また、予備費使用の事後承諾案件については、政府としては、これまで、憲法第八十七条第二項の「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との規定及び財政法第三十六条第三項の「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」との規定に基づき、国会の承諾を得るため、先例を踏まえ先に衆議院に提出するとともに、国会法第五十八条の規定に基づき、予備審査のため参議院に同一の案を送付しているところである。

五について

 国会の運営に係るお尋ねであり、政府としては答弁を差し控えることといたしたいが、予備費事後承諾案件の円滑な審議に資するよう今後とも努力してまいりたい。

六について

 御質問の「平成八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(平成八年四月から九年一月の間の使用分、(その1)に該当)」の国会への提出については、衆議院及び参議院の議院運営委員会において、その提出の在り方について協議されていたため、政府としては提出を差し控えていたところであるが、協議の結果を踏まえ、平成八年度使用分全体を平成九年五月二十七日に国会に提出したところである。
 なお、予備費事後承諾案件における使用期間の区分に係るお尋ねについては、平成九年五月一日の参議院決算委員会における山口哲夫議員の予備費の取扱いに関する質問に対し、野沢太三決算委員長から「この問題につきましては衆参の議院運営委員会で決定する問題でございますけれども、現場を預かる当委員会におきましても、御要望に基づきまして理事会で協議をいたしたいと思います。」と発言されていると承知しており、衆議院及び参議院における今後の御協議の結果を踏まえ、政府としても検討してまいりたい。