質問主意書

第140回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一四〇第四号

  平成九年五月十三日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員栗原君子君提出予備費使用の国会承諾に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員栗原君子君提出予備費使用の国会承諾に関する質問に対する答弁書

一について

 御質問の予備費使用の事後承諾案件の国会への提出については、衆議院及び参議院の議院運営委員会において、現在、その提出の在り方について協議中であると承知しており、政府としては提出を差し控えているところである。

二について

 これまで国会に提出した予備費使用の事後承諾案件については、憲法第八十七条第二項の「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との規定及び財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十六条第三項の「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」との規定に基づき、これを国会に提出しているものである。
 この場合、予備費使用の事後承諾案件は、先例を踏まえ先に衆議院に提出し、同時に国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第五十八条の規定に基づき、予備審査のため参議院に同一の案を送付しているところである。

三について

 予備費使用の事後承諾案件を「一院限りの議決案件」として提出することの憲法上の疑義についての御質問は、国会における議案の取扱いに係るお尋ねであり、政府としては答弁を差し控えることといたしたい。
 また、これに関連して財政法第三十六条第三項の改正の要否については、仮定の前提を置いての御質問であるので具体的な答弁は差し控えることといたしたいが、一般論として申し上げれば、「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」(憲法第四十二条)とされているとおり「国会」という言葉は両議院を含んだ概念であること、財政法第四十条第一項は「内閣は、(中略)歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。」と規定しているが、決算の取扱いは両議院それぞれに提出されていることなどにも留意して検討されるべきものと考える。
 なお、御質問の決算の提出と予備費の事後承諾の違いについては、決算は、国会の議決によって成立した予算の執行実績であって、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」との憲法第九十条第一項の規定に基づいて、国会に提出することが義務付けられているものであり、他方、予備費は、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて設けられ、内閣の責任で支出することができるものであって、「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」との憲法第八十七条第二項の規定に基づいて、事後に国会の承諾を得ることが義務付けられているものと理解している。

四について

 国会における議案の取扱いに係るお尋ねであり、政府としては答弁を差し控えることといたしたい。

五について

 予備費使用の事後承諾案件の国会への提出については、財政法第三十六条第三項において「次の常会において国会に提出」すべきものと規定している。
 この規定の趣旨を踏まえて、できるだけ早い機会に予備費使用の事後承諾案件の審議が可能となるよう、従来から(その1)及び(その2)に区分して提出してきたところである。