質問主意書

第140回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

予備費使用の国会承諾に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成九年五月十五日

栗原 君子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   予備費使用の国会承諾に関する再質問主意書

 平成九年五月十三日に、予備費使用の国会承諾に関する質問に対する答弁書(内閣参質一四〇第四号)をいただいた。その内容は、私が五項目にわたって質問した中心部分について、「国会における議案の取扱いに係るお尋ねであり、政府としては答弁を差し控えることとしたい」とするものであって、予備費使用の事後承諾案件を国会に提出する責任のある内閣の答弁としては、極めて不誠実な内容であり、しかも予備費制度に関する憲法及び財政法の解釈を政府自身放棄するものであって、決算委員である私が提出した質問主意書に対する答弁とはなっていない。
 よって、憲法及び財政法の定める予備費制度の根幹にもさかのぼって、再質問する。

一、予備費使用の事後承諾案件が、第二回国会(常会)以降第百三十九回国会まで、「両院関係のある議案」として国会に提出(衆議院先議)されてきたが、この取扱いの根拠については、一応の答弁をいただいており、これを了とするものであるが、「予備費の使用について憲法が明文で『国会の承諾』を要求しており、『両議院の承諾』あるいは『各議院の承諾』としていない以上、『両院関係のある議案』として提出することは、内閣の当然の責務であり、疑問の余地のないものと考えるが、どうか。」という質問に対する答弁は漏れている。お答えをいただきたい。

二、これまで、予備費使用の事後承諾案件は、例えば、一般会計については「平成○○年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書」の形式で、「両院関係のある議案」として国会に提出されてきているが、ここで言う「予備費の使用」とは何か、政府におけるどのような行為(措置)を指すのか。私の理解では、「予備費の使用」とは、国会で議決された予算に、新しい「項」を起こして金額を計上し、あるいは既定の「項」の金額を増加する措置であると考えるが、政府の見解はどうか。

三、「予備費の使用」が、国会で議決された予算に、新しい「項」を起こして金額を計上し、あるいは既定の「項」の金額を増加する措置であるとすると、「予備費の使用」によらないで、同様の効果を持つ措置を行うためには、内閣は補正予算を編成(「項」の新設あるいは既定の「項」の金額の増額及び予備費の減額)して、国会の議決を得なければならないのは、言をまたないところである。
 このことからも明らかなように、「予備費の使用」は予算の性格を持つものであり、したがって、憲法第八十七条第二項の「国会の承諾」は、「両議院」ではなく、「国会」の議決を要すると解するのが、予算による事前議決の原則の例外をなす予備費制度の趣旨にかなうものであり、また、憲法第八十七条第二項を受けて、財政法が「予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を……国会に提出して、その承諾を求めなければならない」(第三十六条第三項)と定めているのは、予備費使用総調書等を「国会」の議決を要する議案として提出することを明確に求めているものと考えるが、政府の見解はどうか。

四、国家公務員等の任命について同意を求める案件は、各議院に提出されているが、これは、それぞれの根拠規定において、「国会の同意」ではなく、「両議院の同意」とされていることによるものであることを、政府は認識しているか。
 国家公務員等の任命について同意を求める案件の根拠規定との比較において、財政法が「予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を……国会に提出して、その承諾を求めなければならない」(第三十六条第三項)と定めていることを、政府はどのように理解しているのか。また、予備費事後承諾案件を「両院関係のある議案」としてではなく「一院限りの議案」として各議院に提出することが、現行の財政法第三十六条第三項の解釈として望ましいと、政府は考えているのか。

五、予備費使用の事後承諾案件を各議院に提出して、各議院がそれぞれ審議し議決する方式に変更しようとする動きが出た背景には、衆議院に提出された予備費事後承諾案件の審議が、これまで大幅に遅延していたという現実があったと推察する。
 したがって、予備費事後承諾案件の提出の在り方について検討する前に、まず予備費に対する国会承諾が再び遅延しないようにすべきであり、政府においては、これまでの反省を踏まえて、予備費事後承諾案件の審議促進への協力と早期承諾について一層の努力が必要と思われるが、政府の見解はどうか。

六、平成八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(平成八年四月から九年一月の間の使用分、(その1)に該当)が、平成九年五月十五日現在、未だ提出されていない。答弁書(内閣参質一四〇第四号)にあるように、「できるだけ早い機会に予備費使用の事後承諾案件の審議が可能となるよう、従来から(その1)及び(その2)に区分して提出してきた」というのであれば、提出できる予備費事後承諾案件は速やかに国会に提出すべきであると考えるが、どうか。
 また予備費事後承諾案件の早期審議を可能とするためには、今後とも、(その1)及び(その2)に区分して国会に提出すべきであると考えるが、どうか。
 なお、予備費事後承諾案件における使用期間の区分については、平成九年五月一日の参議院決算委員会で、我が党の山口哲夫議員が「通常国会の冒頭に出せるものはきちんと提出いただきたい。例えば、四月から十一月までの分を一月の通常国会冒頭に提出するようにしてはどうか。そして、十二月から三月までの分はその年の五月に提出してほしい」と提案したことも含めて今後検討していただきたいと思うが、政府のお考えはどうか。

  右質問する。