質問主意書

第138回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一三八第一号

  平成八年十一月二十六日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 武藤 嘉文   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員末広真樹子君提出愛知万博開催候補地に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員末広真樹子君提出愛知万博開催候補地に関する質問に対する答弁書

一について

 昨年十二月十九日に愛知県における国際博覧会(以下「本博覧会」という。)の開催申請に係る閣議了解を行う際、政府としては、愛知県が実施した自然環境全般についての環境調査等を踏まえ、主会場候補地約二百五十ヘクタールのうち、自然と共生した会場づくり、まちづくりに利用する区域約百五十ヘクタールをAゾーンとして設定したところである。
 なお、本閣議了解においては、「今後、国及び関係地方公共団体は、会場区域設定、会場整備・利用計画の具体化に当たっては、会場候補地の自然環境の保全に十分に配慮する」こと、及び「開催に当たっては、環境影響評価を適切に行うこと」が確認されており、政府としては、これら方針に基づき、今後本博覧会に係る環境影響評価が適切に行われるよう本博覧会の開催者を指導していく所存である。

二及び四について

 本博覧会では、「新しい地球創造-自然の叡智」をテーマとし、二十世紀の大量生産、大量消費の文明を反省し、人と自然の共生を目指した「来るべき時代の地球文明のひな形」を創造することを目的としている。その一環として、原生自然の保護とは異なる、人の暮らしや文化をも含めた自然との共生の在り方を、都市に隣接し、古くから住民が住み、森林を日常生活の営みに活用し、文化、芸術を創造してきた里山において追求し、限られた土地、資源の中で持続的な成長を必要としている世界の国々に一つの解決策を提供することを目指している。
 このような観点から、現在の主会場候補地は本博覧会の会場にふさわしい土地と判断したものである。

三について

 本博覧会においては、原生自然の保護とは異なる、人の暮らしや文化をも含めた自然との共生の在り方を追求することとしている。この観点から、Aゾーンを含めた主会場候補地全体を本博覧会の理念を反映する場とし、自然環境や生態系の保全・復元・創出等の取組を通じて、人間の生活と自然環境の新しい関係の追求やゼロ・エミッション型のクリーン・エネルギー・システムの構築等を目指すこととしている。

五について

 本博覧会は、(1)二十一世紀の人類社会の知的財産の創出と継承、(2)自然と共生した社会・ライフスタイルの実験とモデル形成、(3)国際的な相互理解と平和共存の促進、(4)クリエイティブで活力にあふれた人材の育成及び新しい産業・経済社会の創造等の成果を我が国にもたらすものと考えている。
 また、本博覧会においては、人と自然との共生を目指した循環型のまちづくりの実験、世界に開かれた文化・芸術・技術・学術の交流・創造拠点としての整備等を通じて、時代を先取りした地域整備が行われることとなる。