質問主意書

第138回国会(特別会)

質問主意書


質問第一号

愛知万博開催候補地に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成八年十一月七日

末広 真樹子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   愛知万博開催候補地に関する質問主意書

 二〇〇五年万国博覧会について、私は、当初の計画が、自然破壊をもたらすとして反対を表明した。
 その結果、政府は、昨年末「自然との共生」をめざす方向に内容を変更して、閣議了解をおこない、本年十一月一日には、「全体構想」が公表された。
 私は、「愛知万博」自体に反対するものではないが、瀬戸を会場とすることに危惧を抱いている。
 メーン会場になっているAゾーンは、我々自然を愛する者にとっては、きわめて魅力的なところである。自然との共生、里山の暮しが残っているからである。
 その場所は、瀬戸のシンボルであり、また自然環境保護のシンボルでもある。したがってAゾーンを会場として使わないか、使うとしても、その地の自然を破壊しないような配慮が必要である。
 そこで、代替案を提案したい。
 その一つは、瀬戸の陶土採掘跡地である。痛々しい、穴ぼこだらけの、むきだしの大地で、万博を開催することによって、緑の大地に蘇生させ、自然と共生する人間の未来を力強く提案することができる。陶土を利用するだけ利用して、あとは知らないふりの人間の所業は、決して許されるものではなく、自然に感謝、その恵みに感謝して、その地で万博を開いていただきたい。
 二つ目は、近隣の愛知青少年公園である。その土地は、全体で二〇〇ヘクタールであり、南側については手つかずのままで放置されている。ここが、万博会場のうちの一つとして利用されると、現有施設(スケート場・プール)への交通アクセスも整い、万博後の大きな財産となることも期待できる。
 以上二つの地区で万博を開催できれば、Aゾーンは、現状のまま生態環境博物館として後世に残すべきであると考える。
テーマと規模の関係でAゾーンでの開催がやむを得ないものであるとしても、これをメーン会場とはせずに、名古屋の笹島の国鉄跡地を活用すべきである。私はここに、マルチメディアを使ったバーチャルスタジアムを核とする会場作りを提案したい。何故なら、自然の生態系の中へ、一日に何万人もの人が入ったのでは、カエル一匹いなくなる。入場者を極力制限して、入れない人は、名古屋の街にいてあたかも森の中にいる如く、歩きまわったり、食事をしたり、写真を撮ったりできるようなバーチャル会場で過すことは画期的な企画であると考える。
 そこで以下の点について、政府の見解を問いたい。

一、メーン会場となっているAゾーンは自然との共生、里山の暮しが残っている、自然環境保護の立場からいえばきわめて貴重な場所である。愛知県では、平成二年度から平成七年度にかけて会場候補地を含む周辺の九〇〇ヘクタールの範囲における自然環境全般について環境調査を実施しているが、政府としては、万博のメーン会場にこの地を使うことを決定するにあたって、十分な環境アセスメントをおこなっていないのではないか。その理由は何か。また、現段階で考えられているゴミの量、交通機関の排気ガス等の想定値及びその環境への影響の見通しを示されたい。

二、私が提案するようにAゾーンを会場として使用せず、以下の二か所で開催することは考えられないか。考えられないとしたら、その理由を(1)、(2)の場所ごとに明らかにされたい。

(1) 瀬戸の陶土採掘跡地
(2) 近隣にある愛知青少年公園

三、私は、Aゾーンについては、現状のまま生態環境博物館として残すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四、Aゾーンの使用がやむを得ないものであるならば、メーン会場として使用せず、入場者を制限し、笹島の国鉄跡地を併用するといった会場の分割案についてはどのように考えるか。政府の見解及びその理由を示されたい。

五、万博に多大な投資をする以上、万博が済んだら、これが皆さんの財産ですよ、というものを明確に示していただきたい。何故なら、国の投資も、県の投資もすべて税金で支払われるからである。税金を使うのであれば、投資効果への説明と、国民特に住民の理解は、是非とも必要である。現在の計画で、万博が終った後に広く住民に還元され、財産として残され得るものは何か、列挙されたい。

  右質問する。