質問主意書

第136回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一三六第四号

  平成八年五月三十一日

内閣総理大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員須藤美也子君提出ホタテの輸入規制等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員須藤美也子君提出ホタテの輸入規制等に関する質問に対する答弁書

一の(1)について

 輸入割当ての対象となっているほたて貝の輸入量は、平成三年が五十八トン、四年が四十六トン、五年が百十九トン、六年が二百五十八トン、七年が七百九十四トンである。
 輸入割当ての対象外であるほたて貝の調製品については、輸入動向を把握するため、平成七年から貿易統計に統計細分を設けたところであり、同年のほたて貝の調製品の輸入量は、一万九百三十六トンとなっている。

一の(2)について

 ほたて貝については、ほたて貝の国内生産量は増加傾向にあること、ほたて貝の加工品(冷凍品及び干し貝柱)の生産量がおおむね横ばいで推移していること等から、現時点では、中国産ほたて貝の輸入による国内のほたて貝の生産者及び加工業者への大きな影響はないものと考えている。
 なお、ほたて貝等我が国の主要な養殖水産物について生産性の向上等により競争力の強化を図る事業を平成八年度から実施することとしているほか、ほたて貝等の水産物の加工業については、引き続き、低利の資金の融通等により、その振興に努めることとしている。

一の(3)について

 セーフガード措置については、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)付属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第十九条の規定及びセーフガードに関する協定に則して、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)等において、輸入の増加により国内産業に重大な損害を与え、又は与えるおそれがあること等が発動の要件となっている。
 ほたて貝については、調製品を含む輸入量の増加が明確でないこと、国内生産量は増加傾向にあること等から、現時点ではセーフガード措置を発動する状況にはないと考えている。

一の(4)について

 ほたて貝の調製品は、昭和三十五年に「貿易、為替自由化促進閣僚会議」において決定された「貿易、為替自由化計画大綱」に即し、昭和三十六年に自由化された品目であり、これを再び非自由化品目とすることは困難である。

二の(1)について

 需給の動向に即し、かつ、漁場の養殖許容量に見合った適切な国内生産を行うことは、重要なことと考えている。
 このため、平成八年度から、ほたて貝養殖に関する全国的な検討会を開催し、需給関係を含めたほたて貝養殖の在り方に関する検討を行うとともに、養殖漁場の良好な環境の維持のための調査を行うことにより、適切な国内生産の実現に努めることとしている。

二の(2)について

 生産者の経営の安定を図るため、平成八年度から、養殖業における省力化、低コスト化を実現する技術開発を行うこととしている。また、漁業災害補償制度においては、ほたて貝の養殖について、異常の事象又は不慮の事故による生産金額の減少と養殖施設の損害を共済金の支払いの対象としている。

三の(1)について

 ほたて貝の産地表示については、財団法人食品流通構造改善促進機構が定めた水産物表示ガイドラインにおいて、可能な限り行うこととされているところであり、政府としては、今後ともその普及定着に努めてまいりたい。

三の(2)について

 中国における貝毒の検査の実施状況については承知していないところであるが、我が国に輸入される中国産のほたて貝については、その安全性を確保するため、輸入者に対して必要な貝毒の検査を実施するよう指導しているところである。