質問主意書

第136回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

名古屋港の整備促進等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成八年六月十四日

荒木 清寛   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   名古屋港の整備促進等に関する質問主意書

 港湾は、経済社会の活力と国民生活の向上を図る基本的な施設であり、国土の均衡ある発展とゆとりある国民生活の向上を図る上で欠かすことのできない施設である。先般、平成八年度を初年度とする「第九次港湾整備五箇年計画について」が閣議了解されたところではあるが、名古屋港については、国際中枢港湾として位置づけられたものの、必ずしも十分な整備が行われるとは言いがたい状況にある。現在、名古屋港における大型コンテナターミナルは、水深十四メートルのバースが一つで、他のバースはいずれも水深が十~十二メートルしかなく、大型コンテナ船の受け入れが困難な状況にある。同じく平成八年度を初年度とする「第七次空港整備五箇年計画」では、中部国際空港の整備が認められており、二十一世紀において中部経済圏の国際化が一層進展するものと見込まれる。中部圏最大の海の玄関である名古屋港も名実ともに国際的なハブ港湾として整備を促進していくことが重要であると考える。
 以下、名古屋港の整備促進等に関する次の諸点について質問する。

一 近年、アジア諸国の中において我が国港湾の地位が急速に低下している。一九九五年のコンテナ取扱個数の世界ランキングを見ても、我が国の港湾は横浜港が八位、東京港が十五位となっており、一位香港、二位シンガポール、三位高雄、五位釜山などアジア諸国の港湾に大きな遅れをとっている。また、名古屋港に至っては二十三位にとどまっている。我が国港湾の地位がこのように低下しているのはどのような理由に基づくものなのか。

二 今回の「第九次港湾整備五箇年計画」では大水深の国際海上コンテナターミナル群を整備し、我が国の経済力に見合った国際海運サービスの維持を図ることがうたわれているが、一方でアジア諸国も港湾整備を着々と進めていると聞いている。アジア諸国の主要港の現状と今後の整備計画についてはどのように把握しているのか。

三 「第九次港湾整備五箇年計画」では遅ればせながら、東京港、川崎港、横浜港、大阪港、神戸港、清水港、北九州港の七港について水深十五メートルバースの整備が認められる方向と聞いているが、国際中枢港湾の一つでもあり、かつ我が国第三位のコンテナ取扱量を誇る名古屋港についても水深十五メートルコンテナバースの整備が不可欠であると考えるがどうか。

四 海運会社はコスト競争力維持のために船舶の大型化を図っており、六千TEUクラスの大型コンテナ船の就航が予想されている。米国のロングビーチ港では既に水深十六・八メートルのコンテナバースがあると聞いているが、コンテナバースの大水深化に遅れをとったこれまでの港湾整備計画を反省し、国際競争力の強化を図る観点から我が国においても将来を見据えた水深十六メートルコンテナバースの整備を行うべきではないかと考えるがどうか。

五 阪神・淡路大震災においては、個別の構造物の強化だけでは対応しきれない自然災害の恐さを改めて認識させられた。迂回ルートが十分でなかったり、交通機関の連携が円滑でなかったことなど、交通・物流システム全体による対応も十分機能しなかったことが判明した。名古屋港は我が国の二大港と言われる神戸港、横浜港の代替機能を、経済的にも地理的にも十分果たしうる状況にあり、リダンダンシーの考え方からも、それらの港湾と同等程度の整備を行うことが望ましいと考えるがどうか。

六 現在、テクノスーパーライナー事業化支援のための総合的調査が行われているが、将来的に名古屋港をテクノスーパーライナーの就航港とする考えはないか。

  右質問する。