質問主意書

第134回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

学校における舞台芸術鑑賞機会の確保・拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年十二月十一日

木庭 健太郎   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   学校における舞台芸術鑑賞機会の確保・拡充に関する質問主意書

 子どもにゆとりある生活を確保するために平成四年から月一回の学校週五日制が導入され、さらに平成七年度からは隔週五日制が実施された。しかし、子どもたちを取り巻く厳しい教育環境は依然変わらず、授業時間数さえ変わらないまま学校行事やゆとりの時間が削られる形での隔週五日制が行われている。また過熱した塾通いも一向に収まらず、子供たちはなかなかゆとりが持てないのが現実である。
 このような状況下で子供小劇場等の演劇鑑賞教室及び地域公演をとおして、日ごろ子供たちは学校の授業では感じることのできない貴重な体験を演劇鑑賞教室から体得することができていたが、それが今バブル経済終焉と教育にゆとりを設けることを目的に導入された月一回週五日制さらに隔週五日制の実施、そして「児童数減」と言うトリプルパンチにより学校での演劇鑑賞教室数が激減している。子どもにゆとりある生活を確保するための当初の目的とはかけ離れているのではないかとの疑問の声も出ている。
 真に子どもにゆとりある生活を実現するために演劇鑑賞教室の育成を視点に積極的に推進するべきと考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 子どもに演劇を鑑賞させることは、子ども自身の表現を豊かにすると考えるが、学校行事を組み立てていく時、映画会、音楽会、演劇鑑賞会などの演劇教室の位置付けをどのように考えるのか。

二 新学習指導要領の小学校指導書では「学校内外を通した児童の生活の充実と活性化を図ることが大切……」とされ、そのため「学芸的行事としては児童が各教科書などにおける日ごろの学習の成果を総合的に発展させ、発表しあい、お互いに鑑賞する行事と、児童の手によらない作品や催し物を鑑賞する行事とがある。」と明記されている。しかるに、隔週五日制は、学芸的行事の削減によって実施されている。学芸的行事と学校週五日制の実施との関連をどのように考えるのか。

三 学校週五日制の実施にあたって、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を分担し、各々その教育機能を発揮することが期待されていることは承知している。しかし舞台芸術の鑑賞機会は地方格差があることも事実である。地域によっては、学校が積極的にその機能を提供することが適切と思われるが、政府の見解はどうか。

四 学校週五日制、児童数の減少で演劇教室をめぐる状況は厳しくなってきている。特に遠隔地や小規模校では、保護者の負担だけでは劇団等が学校公演を行うことは困難になってきている。このような現状に対処するため、自治体が学校公演の費用を負担する場合には国が補助措置を講ずるなど、地域や学校規模を問わず子供が学校で舞台芸術の鑑賞機会を得られるよう、国として何らかの施策を講ずるべきであると考えるが、政府の見解はどうか。

五 文化庁は合唱、オーケストラ、ミュージカル、文楽、演劇、邦楽・邦舞の鑑賞を学校で行う「中学校芸術鑑賞教室」を開催し、本年度は全国で合わせて四十七公演を予定している。しかしこの数は全国の中学校数の〇・四%にすぎず、今後一層の拡充を図る必要があると考えるが、政府の見解はどうか。

六 学校を子供の生活と文化のための開かれた「地域のステーション」にすると同時にそこに暮らす地域住民全体の地域ステーションとして位置付け、演劇教室の際には地域の住民も参加、鑑賞できるように発展的に考えるべきと思われるが、政府の見解はどうか。

  右質問する。