質問主意書

第134回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

高圧送電線鉄塔問題等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年十一月二十四日

栗原 君子   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿


   高圧送電線鉄塔問題等に関する質問主意書

一、島根県美濃郡美都町久原二五一四の一六ヘクタールは、農地を多数含んでいるにもかかわらず、農業法人以外の業者によって土地の造成が行われている。登記簿移転もなされているが、農林水産省(治山係、農地係)は、これらの事実を承知しているか、明らかにされたい。

二、右記の土地に対し、島根県と美都町は農業振興地域の整備に関する法律による農用地除外にあたって、農林水産大臣の特別管理区域の指定を受けなければならないのに、受けていない。公共、公益事業といえどもこの処置は不可欠であるのに、指定を得ずに手続きを進めてきた。この事実を農林水産大臣は、承知しているか、明らかにされたい。

三、西島根幹線と称し、広島県、島根県にわたって右記の土地も含め五〇万ボルトの鉄塔建設が強行されているが、事業許認可も受けずに行われている事実を政府は承知しているか。また、通商産業大臣は、事業許認可を得ない限り、事業計画も工作物設置もできないことを承知しているか。

四、中国電力が、電気工作物設置の事業許可を得ていないのに、保安林解除や地すべり等防止法、航空法など関係の申請手続きを五〇万ボルトの送電線建設事業で進め、これらの法の許認可を得ていることを政府は承知しているか。

五、中国第二幹線は、途中の変電所が農地であるため、法的には建設不可能であるにもかかわらず、事業認可を通商産業大臣が出しているが、それは何故か。

六、中国電力は、前記(五)の農地法違反の土地を、電気事業法による電気工作物または電気工作物に関する事業として、開発改変し、工作物を設置しているが、このような森林法・農地法・電気事業法の違反にかかる事実を、政府が許している理由を明らかにされたい。

七、中国第二幹線一帯は、岩見空港の近くであり、また、岩国基地からの米軍の低空飛行訓練地帯(年間二〇〇回以上)となっている。そのため航空法では、鉄塔を赤や白で塗らなければならないが、島根県が、景観保全のために鉄塔の塗色を認めないため、大阪航空局が航空法の特例措置として、色抜きを認めたことを政府は承知しているか。これによって安全性が犠牲にされることをどう考えるか。

八、西島根幹線五〇万ボルトを一一万ボルトで建設する件に関して、本年三月二九日、国の広島合同庁舎において開催された電気事業法第一一〇条に基づく聴聞会において、杉原誠技術課長は「書面にて審査する」と伝えられたものの、陳述人には未だに「陳述人文書確認の願い」が届けられていないが、この理由を明らかにされたい。

九、JA美鹿のライスセンター事業の補助金支出について、美都町住民監査請求結果通知書によると「過去の判例からみて疑義があるが、県も国も補助金を出したのだから」とされているが、もし事実であれば違法なので、こうした行為について国が交渉した当事者と年月日を明らかにされたい。

  右質問する。