質問主意書

第132回国会(常会)

答弁書


第百三十二回国会答弁書第三〇号

内閣参質一三二第三〇号

  平成七年八月二十二日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 斎藤 十朗 殿

参議院議員翫正敏君提出返還ガラス固化体の仕様、輸送及び日本の核廃棄物等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員翫正敏君提出返還ガラス固化体の仕様、輸送及び日本の核廃棄物等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 フランスから平成七年四月に返還されたガラス固化体(使用済燃料を溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を分離した残りの液体をガラスにより固型化したものをいう。以下同じ。)及びTN28VT型輸送容器に当該ガラス固化体を収納したもの(以下「本輸送物」という。)の線量当量率については、実測されたと承知している。

一の2について

 今回返還されたガラス固化体二十八本の表面及び一メートル離れた位置での線量当量率については、当該ガラス固化体がフランスを出る前にフランス核燃料会社(以下「COGEMA」という。)が測定を行ったと承知しているが、電気事業者によれば、これらの値の第三者への開示については、COGEMA及び電気事業者間の再処理契約に基づき、COGEMAの事前許可が必要となっており、電気事業者がCOGEMAと調整を行った結果、COGEMAから自らの経営上の不利益を招くものとして了解が得られなかったとしており、これらの値についての答弁は差し控えたい。

一の3について

 本輸送物の線量当量率については、日本原燃株式会社及び原燃輸送株式会社が実施した発送前の点検における測定結果によれば、輸送容器表面においては〇・三〇ミリシーベルト毎時以下、輸送容器から一メートル離れた位置においては四十マイクロシーベルト毎時以下であったと承知している。

一の4及び5について

 今回返還されたガラス固化体二十八本の放射性物質の種類ごとの放射能濃度及び発熱量については、COGEMAが行った固化対象となる廃液の分析結果を基に電気事業者が算出しており、これらの値については電気事業者より公開されていると承知しているが、当該ガラス固化体二十八本のうちの一本を例にとると、放射能濃度についてはアメリシウム二四一が6.88×1013ベクレル、セシウム一三七が489×1015ベクレル等、発熱量については一・三一キロワットとなっていると承知している。

一の6について

 今回返還されたガラス固化体の輸送に係る費用については、電気事業者が負担することになっていると承知しているが、電気事業者によれば、その額については、私企業の契約にかかわる内容であり、公表することにより経営上の不利益を被ることとなることから、公表は差し控えたいとしており、答弁は差し控えたい。

二の1について

 返還されるガラス固化体については、仕様そのものについての具体的基準等により法的に規制されているのではなく、その廃棄に係る安全性は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)に基づく廃棄物管理の事業に係る規制及び工場又は事業所の外において行われる廃棄に係る規制等によって確保される。

二の2について

 高レベル放射性廃棄物以外の廃棄物の英国又はフランスからの返還量については、今後、電気事業者と英国核燃料会社又はCOGEMAとの協議を経て決まるものと承知している。

三の1及び2について

 我が国における放射性廃棄物の累積保管量及び年間発生量を高レベル、中レベル、低レベルに区分した場合のそれぞれの数値については承知していないが、科学技術庁が把握している高レベル放射性廃棄物及び主な低レベル放射性廃棄物の累積保管量等は次のとおりである。
 高レベル放射性廃棄物の累積保管量は、平成五年度末で五百四十二立方メートルであり、平成四年度末から二十六立方メートル増加している。
 また、実用発電用原子炉施設、核燃料加工施設(動力炉・核燃料開発事業団の保有する施設を除く。)並びに日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団及び日本アイソトープ協会の保有する施設における主な低レベル放射性廃棄物の累積保管量は、平成五年度末で二百リットルドラム缶換算で約八十二万四千本であり、平成四年度末から約三千六百本増加している。このほか、日本原燃株式会社低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬出された低レベル放射性廃棄物の累積量は、平成五年度末で二百リットルドラム缶で二万六千六百本であり、平成四年度末から二万五百二十本増加している。

三の3について

 科学技術庁における放射性廃棄物に関する事務を含む原子力の研究、開発及び利用に関する事務のうち主要な事務については、同庁の設置に伴い、昭和三十一年五月十九日から同庁原子力局が担当することとなったが、当該事務のうち安全の確保に関する事務については、同庁に原子力安全局が設置された昭和五十一年一月十六日から同局が担当することとなった。
 なお、科学技術庁設置以前においては、放射性廃棄物に関する事務を含む原子力の研究、開発及び利用に関する政策の企画、立案及び推進に関する事務等については、総理府原子力局が担当することとなっていた。