質問主意書

第132回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一三二第一八号

  平成七年六月十三日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員荒木清寛君提出ガス事業の地震対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員荒木清寛君提出ガス事業の地震対策に関する質問に対する答弁書

一について

 ガス事業者においては、二次災害防止の観点から、地震の規模、ガス漏えい件数等の被害状況、さらには供給停止措置を講じた場合の復旧に要する期間等を考慮した総合的な判断により、必要に応じて供給停止措置を講じるものと認識している。
 今回の阪神・淡路大震災における約八十六万戸の供給停止措置についても、かかる観点から講じられたものであったと認識している。

二について

 地震による被害の著しい地区に限定して導管網を分割する緊急措置ブロックは、供給停止区域の極小化に大きく資するものであり、平成五年一月に発生した釧路沖地震の際にもその効果が確認されたところである。それまでもガス事業者は独自に緊急措置ブロックの導入を進めてきたところであるが、この釧路沖地震を契機に、資源エネルギー庁において、学識経験者等からなる「ガス地震対策調査会」を開催し、意見聴取を行った結果も踏まえ、政府としても、ガス事業者に対して、事業者ごとの緊急対応能力等を勘案の上、適切な規模の緊急措置ブロックの形成を図るように要請してきたところである。今回の阪神・淡路大震災における大阪ガス株式会社の供給停止措置も、この緊急措置ブロックによって講じられたものである。
 なお、今回の阪神・淡路大震災を契機に、資源エネルギー庁において、本年四月以降「ガス地震対策検討会」を開催し、今回の阪神・淡路大震災に際しての都市ガスの被害状況について調査・分析を行うとともに、緊急措置ブロックのより望ましい形成の在り方について意見聴取を行うこととしており、政府としては、その結果を踏まえつつ、追加的な措置の必要性等について検討してまいりたい。

三について

 「ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示第八十六条の二の運用について」(平成七年二月二十八日七資公部第七十五号)において規定する「埋設される導管の耐震性に関する指針」(以下「耐震設計指針」という。)は、前述の「ガス地震対策調査会」において意見聴取を行った結果も踏まえ、埋設される導管の耐震性の向上を図っていくことを目的としたものである。
 なお、前述の「ガス地震対策検討会」において、今回の阪神・淡路大震災に際しての導管の被害状況について調査・分析を行うとともに、耐震設計指針の見直しの必要性について意見聴取を行うこととしており、政府としては、その結果を踏まえつつ、追加的な措置の必要性等について検討してまいりたい。

四について

 ガス事業に係る地震対策については、既に、前述の「ガス地震対策調査会」において意見聴取を行った結果も踏まえ、技術基準の見直し等その具体化が図られてきたところである。
 なお、前述の「ガス地震対策検討会」において、今回の阪神・淡路大震災が大都市を襲った直下型の地震であることを踏まえ、国民生活に不可欠な都市ガスに係る地震時の影響を最小限のものとすることを目的として、前述の「ガス地震対策調査会」において意見聴取した事項の検証及び新たな知見の有無について、今後一年を目途に意見聴取を行うこととしている。
 具体的に意見聴取を行うことを予定している主な項目は次のとおりである。

1 耐震性の高いガス設備、供給システムの在り方
2 地震発生時の初動体制の在り方
3 復旧体制・方法の在り方
4 代替熱源の提供等生活支援対策の在り方
5 需要家、報道機関等への情報提供の在り方

 なお、「代替熱源の提供等生活支援の在り方」においては、供給停止期間が長期化することを想定した生活支援の在り方について意見聴取を行うこととしている。

五について

 LPガスは、緊急時対応に優れたエネルギーとして、今回の阪神・淡路大震災に際しても被災LPガス消費者への速やかな復旧のみならず、被災都市ガス消費者の需要に応じ、代替熱源としての役割を果たしたところである。
 代替熱源の提供等生活支援対策については、前述の「ガス地震対策検討会」において、意見聴取を行うこととしているが、公共的施設においていずれの燃料を使用するかについては、施設の設置者が、地域の実状に即した検討も踏まえ自ら選択すべきものであると考えている。
 また、政府は必要に応じて災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関の見直しを行っているところであるが、御指摘のLPガス関係団体の業務内容、事業規模等を勘案すると、同機関に指定する必要はないものと考えている。