質問主意書

第132回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一三二第一六号

  平成七年六月十三日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員荒木清寛君提出活断層対策等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員荒木清寛君提出活断層対策等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 活断層の定義については様々な説があるが、例えば、通商産業省工業技術院地質調査所においては、「おおむね第四紀の後期に反復して活動した内因性の断層」を活断層と定義している。
 現在確認されている活断層の数については、国の諸機関、大学等の調査結果を踏まえれば、活断層である可能性があるものも含め、約二千である。

一の2について

 阪神・淡路大震災の発生後に新たに存在が確認された活断層はない。
 なお、旧江戸川下の活断層は、平成四年度に通商産業省工業技術院地質調査所が行った調査により確認されたものである。

一の3について

 活断層の活動歴については、これまで国の諸機関、大学等により、少なくとも五十数箇所においてトレンチ調査(活断層の通過している場所に調査溝を掘り、その断面及び平面の観察を通じて過去に起こった活断層の活動を解析する調査をいう。以下同じ。)が実施されている。
 御指摘の十二活断層群のうち六活断層群については、部分的にトレンチ調査が行われている。それらの活断層群の地震発生危険度の評価については、さらに調査・研究が必要であり、現段階において政府としての判断を示すことは困難である。

二の1について

 発電用原子炉施設等の原子力施設及びダムについては、活断層等の存在を考慮して設計することとされている。

二の2について

 阪神・淡路大震災による建築物の被害は、地質条件のほか、当該建築物の位置、建築時期、規模、構造等によって多種多様であるので、建築物の被害の原因及びその対策について検討しているところである。

二の3について

 各地方公共団体が、国の諸機関、大学等が行った活断層に関する調査の結果を参考とし、所在が確認できる活断層については必要に応じ地図により広く地域住民に周知を行い、あわせて、被害想定を行い、住民の防災意識の高揚、防災訓練への参加の促進等の措置を講ずることは、防災対策の推進に資するものであると考えている。
 また、各地方公共団体においては、地震被害の軽減を図るため、従来から住民に対する相談窓口の設置等各種の震災対策を進めているところであるが、政府としても、引き続き、これらに対する指導、支援等を行ってまいりたい。

三の1について

 阪神高速道路公団が平成元年に実施した大阪湾地質構造調査の調査方法は、マルチチャンネル反射法(水中において、圧搾空気を用いたエアガンにより波動を生じさせ、反射波を受信・解析することにより地層の概要を把握する調査)であり、これにより、大阪湾海底の基盤の深度等が明らかとなり、断層運動の結果生じたものと思われる基盤の隆起が発見された。

三の2について

 同調査は、大阪湾の地質構造に関する基礎的なデータを入手することを目的として実施されたものである。

三の3について

 阪神高速道路の復旧工事については、現行の耐震設計基準に加え、橋脚の柔軟性及びねばりの向上等により橋梁全体として今回の地震と同規模の地震にも耐えられる構造とすることを目標として策定した仕様を平成七年二月二十七日付けで建設省が通達したところであり、阪神高速道路公団はこれに基づいて復旧工事を実施することとしている。

四について

 現在、中央防災会議では、防災基本計画の見直し作業を進めているが、新たな防災基本計画においては、活断層に関する調査を含め、地震に関する研究及び観測を重要事項と位置付けて記載することとしている。また、活断層に関する調査結果を地域防災計画に反映させるよう指導してまいりたい。
 国としては、これまでも特定観測地域、観測強化地域等において活断層に関する調査を行ってきたところであるが、今後、さらに詳細な調査を行うとともに、活断層における観測の強化に努めてまいりたい。