質問主意書

第132回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一三二第一五号

  平成七年五月十二日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員翫正敏君提出防衛庁・自衛隊における法律秘に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員翫正敏君提出防衛庁・自衛隊における法律秘に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第五十九条第一項に規定する「秘密」の解釈は、昭和五十三年五月三十一日の最高裁判所判例を踏まえたものであり、同判例以降その解釈に変更はない。

一の2について

 自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」の解釈を自衛隊員に周知徹底するために、防衛庁における文書の形式に関する訓令(昭和三十八年防衛庁訓令第三十八号)第十五条に規定する通達類を発したことはない。

二の1について

 取扱上の注意を要する文書等の取扱いについて(昭和五十六年三月二日防衛事務次官通達。以下「通達」という。)に基づく「部内限り」又は「注意」の表示のある文書等で、自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当しないものの点数及び件数については、把握していない。

二の2について

 自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当するか否かは、通達に基づく「部内限り」又は「注意」の表示の有無にかかわらないものである。

三について

 自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当するものが、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条第一項又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十四条第一項に規定する「秘密」に該当する場合は、これを職務上知ることのできた一般職に属する国家公務員又は地方公務員は、それぞれこれらの国家公務員法又は地方公務員法の規定に基づき守秘義務を負う。

四について

 昭和五十八年九月一日にソ連機が大韓航空機を撃墜した前後の様子を示す交信記録については、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備していたが、この事件の異常性と重大性にかんがみ、真相究明のため、本交信記録を公表することが相当と判断されたものである。

五について

 領空侵犯が発生した際、政府として、その公表を差し控えることとした場合には、当該事実は、国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」に該当し、これを職務上知ることのできた一般職に属する国家公務員は、同項に基づき守秘義務を負う。

六について

 多用途支援機の機種選定に係る有識者会合の委員に委嘱した三名の有識者に対する、秘密保全に関する訓令(昭和三十三年防衛庁訓令第百二号。以下「訓令」という。)の規定により秘密に指定されていない文書で自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当するものの貸出し等については、訓令に定める手続の趣旨にのっとり、防衛局長又は航空幕僚長の許可に基づき行ったところである。

七について

 御指摘の「朝雲」紙に抜粋された「警備日誌」の内容には、自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当する事実はない。

八について

 自衛隊法第五十九条第一項の保護法益は、自衛隊の任務の適正な遂行等である。