質問主意書

第132回国会(常会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一三二第六号

  平成七年三月十日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員翫正敏君提出防衛庁・自衛隊における秘密に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議院翫正敏君提出防衛庁・自衛隊における秘密に関する質問に対する答弁書

一並びに二の1及び3から5までについて

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第五十九条第一項に規定する「秘密」は、秘密保全に関する訓令(昭和三十三年防衛庁訓令第百二号。以下「訓令」という。)の規定による秘密の指定の有無にかかわらず、一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実をいう。
 したがって、当該事実を職務上知ることのできた自衛隊員は、同項に基づき守秘義務を負う。

二の2について

 訓令の規定により秘密に指定されていない文書等で非公開としているものが、自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当しない場合は、あり得る。

二の6について

 防衛庁では、通達に基づき、取扱い上の注意を要する文書には、適当な場所にその旨を表示し、適正な管理等に努めることとしている。

三の1から4までについて

 防衛庁は、国会による文民統制の機能が十分発揮できるよう、従来から、国会における審議等に際しては、国家の安全と利益に支障が生じない限り、防衛庁長官の責任の下に、国の防衛に関する事項について誠意をもって説明し、必要な各種資料等もできる限り提出しているところである。
 しかしながら、国の防衛に関する事項に係る提出資料や説明の内容については、事柄の性質上おのずから限度があり、資料の提出や説明を控えざるを得ない場合があってもやむを得ないと考えている。
 いずれにせよ、今後とも、防衛庁の立場から許される最大限の協力をすべきものと考えている。

三の5について

 外国人留学生に対する教育の実施に際しては、内容等について十分留意しているところである。

四の1について

 昭和五十八年九月一日にソ連機が大韓航空機を撃墜した前後の様子を示す交信記録は、訓令第五条に定めるいずれの秘密区分にも指定されていなかったものである。

四の2について

 一般に、許可を要する外国の航空機が事前の許可を得ることなく、我が国の領空を飛行すれば、いかなる事情であれ、領空を侵犯したこととなる。しかしながら、かかる事案の発生する原因や態様は様々であり、領空侵犯事案の公表は相手側に対する強い非難とも受け取られ得ることから、公表に当たっては、当該事案発生の原因、態様等を踏まえ、個別の事案ごとに公表の適否を政府として総合的に判断しているものである。

四の3について

 多用途支援機の機種選定に係る有識者会合の委員に委嘱した三名の有識者に対しては、訓令第三十八条の規定に基づき、航空幕僚長の許可を得て、一定の期間、複数の秘密の文書を貸し出したところである。
 なお、その際、同条第二項の規定に基づき、必要な措置を講じたところである。

四の4について

 従来から申し上げているとおり、国会議員から国会における審議のために必要な資料の要求があった場合には、政府としてはこれに可能な限り協力をすべきものと考えるが、他方、要求された事項が職務上の秘密に属するものである等の場合には、資料の提出を控えざるを得ない場合があってもやむを得ないと考えているところである。御指摘の事故報告に関する達(昭和四十一年陸上自衛隊達第一二一-二号)の別紙第二から第四までの資料の要求についても、この考え方に沿って平成五年四月二十三日に防衛庁から提出したところである。
 今後ともこの考え方に沿って対処していく所存である。