質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

教範類の雑誌掲載に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年六月二日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   教範類の雑誌掲載に関する質問主意書

 防衛庁・自衛隊は、教範類に関して「自衛隊の行動及び教育訓練を適切かつ有効に実施するため、部隊の指揮運用、隊員の動作等に関する教育訓練の準拠を示した部内資料であって、自衛隊の能力及び行動要領等を含むものであるので、部内専用として」(「「陸上自衛隊 幹候・三尉候受験の参考」の部外秘扱いに関する質問」に対する政府答弁(一九九二年一月一四日))おり、現在その公表及び開示を全て拒んでいる。
 しかしながら朝雲新聞社発行『MONTHLY ASAGUMO』(『月刊朝雲』改題)には、自衛隊の選抜模擬試験と題して教範類の具体的内容が掲載され、継続して購読すれば、教範類の内容を把握することが可能である。
 例えば同誌九四年九月号には「部隊符号」(陸自教範七-〇四-〇一-五四-〇)の内容が掲載されている。また九四年一〇月号には「特殊武器防護」(陸自教範七-〇四-〇六-六一-〇)の内容までもが掲載され、陸上自衛隊における化学戦の遂行方法が明らかにされている。(これは、これらの教範が当該号だけに掲載されたということではなく、過去にさかのぼっても繰り返し掲載されており、それらをつなぎ合わせると教範の内容がほぼ把握できる。)またその他の教範に関しても同様である。
 同誌は第三種郵便物に認可された(昭和三九年九月一七日第三種郵便物認可)誰でも購読できる雑誌であり、防衛庁・自衛隊によるこれまでの教範類の部内専用としての取扱いにもかかわらず、その具体的内容は外部に筒抜けになっていた事実に関し、政府の見解を明らかにするために以下質問する。

一 同誌に対し教範の内容が継続的に流失した経緯について明らかにされたい。

二 これまで同誌において掲載された教範類の内容の中に自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当するものが存在したか。

三 過去において教範類は貸出されたこともあったが、「昭和五十五年に発生したいわゆる宮永・コズロフ事件を契機として、教範類を始め教育訓練関係の部内資料の取扱いについて見直しを行った結果、先に述べた教範類の性格から、その内容を明らかにすることが自衛隊の能力及び行動要領等を明らかにすることにつながり、防衛庁の所掌事務の遂行に支障を生じるおそれがあるとの判断に至ったため、同年以降、教範類の貸出し等を差し控え」(「教範類の「対国民秘」扱いに関する質問」に対する政府答弁(一九九三年七月二三日))たまま現在に至っている。そこで、これまでの同誌での教範類の掲載の結果、

1 「自衛隊の能力及び行動要領等を明らかにすることに」つながったか、
2 「防衛庁の所掌事務の遂行に支障を生じるおそれ」があったか、
をそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。