質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇号

防衛庁・自衛隊における法律秘の定義に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年五月二十六日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   防衛庁・自衛隊における法律秘の定義に関する質問主意書

 政府は自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第五十九条第一項に規定する「秘密」(以下「法律秘」という。)の定義について、秘密保全に関する訓令(昭和三十三年防衛庁訓令第百二号。以下「訓令」という。)の規定による秘密の指定の有無にかかわらず、「一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を具備している事実をいう。」(「防衛庁・自衛隊における法律秘に関する質問」に対する政府答弁(一九九五年四月一一日))との答弁を繰り返している。
 一方で、法律秘の解釈については「昭和五十三年五月三十一日の最高裁判所判例を踏まえたものであり、同判例以降その解釈に変更はない。」(「防衛庁・自衛隊における法律秘に関する再質問」に対する政府答弁(一九九五年五月一二日))との見解を示している。
 同判例(以下「昭和五三年最高裁判例」という)は法律秘の定義については、その理由の中で昭和五二年一二月一九日の最高裁判所第二小法廷決定(以下「昭和五二年最高裁判例」という。)をそのまま引用している。昭和五二年最高裁判例は、法律秘について「国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱の指定をしただけでは足りず、右「秘密」とは、非公知の事項であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるものをいう」と定義している。
 政府が法律秘の解釈を昭和五三年最高裁判例に求めるのであれば、当然昭和五二年最高裁判例における法律秘の定義について政府の見解が示されるべきであり、この点につき以下質問する。

一 政府が、法律秘についての解釈を昭和五三年最高裁判例に求めるならば、法律秘の定義は同判例がその理由の中で引用する昭和五二年最高裁判例の「国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱の指定をしただけでは足りず、右「秘密」とは、非公知の事項であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるもの」となるはずであるが、政府の見解はどうか。

二 もし政府が、昭和五二年最高裁判例の定義を法律秘の定義としないのであれば、その理由を明らかにされたい。

三 政府が昭和五二年最高裁判例の解釈に従うのであれば、訓令に基づいて秘密の指定がなされたものであっても、法律秘に該当しない場合があり得ると考えるが、政府の見解はどうか。

  右質問する。