質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

防衛庁・自衛隊における法律秘に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年三月三十一日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   防衛庁・自衛隊における法律秘に関する質問主意書

 防衛庁・自衛隊においては、秘密保全に関する訓令(昭和三十三年防衛庁訓令第百二号、以下「訓令」という。)に基づいて秘密に指定されていないにもかかわらず、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第五十九条第一項に規定する秘密に該当するもの(以下「訓令秘に指定されていない法律秘」という。)が多数存在するものと見受けられるが、これらの性格は極めて曖昧であり、政府の見解を明らかにするため以下質問する。
 なお質問の便宜上、自衛隊法第五十九条第一項に規定する秘密は「法律秘」、訓令に規定する秘密を「訓令秘」という。

一 訓令秘に指定されていない法律秘の性格について

1 訓令秘に指定されていない法律秘の、その秘密であることを解除する手続きは存在するのか。存在するのであればその内容を明らかにされたい。
2 文書等が新たに作成された際、それが訓令秘に指定されることがなくとも、法律秘に該当するか否かの判断がその時点で下されているのか。
3 秘密の指定及び取扱上の注意を要する文書等の取扱いについて(昭和五十六年三月二日防衛事務次官通達)に基づく「部内限り」及び「注意」に指定されている文書等で、訓令秘に指定されていない法律秘に該当しないものは存在するのか。
4 訓令秘に指定されていない法律秘を、(防衛庁に出向したとか、機関委任事務といった関係で)自衛隊員以外の国家公務員あるいは地方公務員が知った場合、自動的に国家公務員法第百条第一項の「職務上知ることのできた秘密」あるいは地方公務員法第三十四条第一項の「職務上知り得た秘密」として守秘義務を負うのか。

二 訓令秘に指定されていない法律秘の管理について

 先に私が提出した「防衛庁・自衛隊における秘密に関する再質問」に対する政府答弁(一九九五年三月二四日、以下「政府答弁」という。)では、訓令秘に指定されていない法律秘の「件数及び点数を把握する制度は、存在しない。」とのことであるが、そこで以下の点を明らかにされたい。

1 「件数及び点数を把握する制度は、存在しない。」となると、訓令秘に指定されていない法律秘は、紛失あるいは遺棄があっても分からないということになるが、政府はどのように対処しているのか。
2 このようなずさんな管理体制では、訓令秘に指定されていない法律秘の秘密保全はないに等しいと考えられるが、政府としては今後これを改善するつもりはあるのか。

三 訓令秘に指定されていない法律秘の公開・開示基準について

1 政府答弁では、大韓航空機撃墜事件(一九八三年九月一日)の前後の様子を示す交信記録は法律秘とのことであるが、これは(1)いかなる法令を根拠に、(2)どのような手続きを経て、(3)誰によって、公開されるに至ったのか、明らかにされたい。
2 政府答弁では、領空侵犯の事実に関して「政府として総合的に判断した結果、その公表を差し控えることとした場合には」当該事実が法律秘に該当するとのことであるが、「政府として総合的に判断」するということは、防衛庁だけでなく、安全保障会議といったような各省庁横断的な場において判断が下されているということなのか。
3 政府答弁では、多用途支援機の機種選定に係る有識者会合の委員に委嘱した三名の有識者に対して訓令秘に指定されていない法律秘に該当する文書の貸出し等が行われたとのことであるが、これは(1)いかなる法令を根拠に、(2)どのような手続きを経て、(3)誰によって、開示が認められたのか、明らかにされたい。
4 一九九四年一二月八日付『朝雲』紙には、ザイールのゴマで難民の救援活動を行った陸上自衛隊の「ルワンダ難民救援隊」の警備日誌の抜粋が掲載されているが、この警備日誌なるものは、法律秘に該当するものではないのか。

  右質問する。