質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

防衛庁・自衛隊における秘密に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年三月十五日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   防衛庁・自衛隊における秘密に関する再質問主意書

 先に私が提出した「防衛庁・自衛隊における秘密に関する質問」に対する政府答弁(一九九五年三月一〇日)における不明な点につき再度質問したい。
 なお前回質問同様、便宜上、自衛隊法第五九条で定める「秘密」を「法律秘」、「秘密保全に関する訓令」(昭和三三年訓令第一〇二号)(以下「訓令」という。)に基づき指定された「秘密」は「訓令秘」とする。

一 法律秘について

1 防衛庁・自衛隊において、法律秘に該当するにもかかわらず訓令秘に指定されていない文書等が存在するならば、現在の、その件数及び点数を明らかにされたい。
2 防衛庁・自衛隊においては、法律秘に該当するにもかかわらず訓令秘に指定されていない文書等の保全に関する規定が存在するのか。もし存在するのであれば、その規定を明らかにされたい。
3 法律秘に該当する文書等は全て訓令秘に指定して、適切な保全を図るべきと考えるが、防衛庁・自衛隊において法律秘に該当するにもかかわらず訓令秘に指定されない文書等が存在するとすれば、それはいかなる理由からか。
4 防衛庁・自衛隊において法律秘を指定できる権限を有する者は誰か、明らかにされたい。
5 訓令秘に指定されていないにもかかわらず法律秘に該当する文書等は、自衛隊員はどのような手段でそれを認識するのか明らかにされたい。

二 「注意」及び「部内限り」について

1 「注意」及び「部内限り」の根拠となる通達とは何か明らかにされたい。
2 「注意」及び「部内限り」に指定された文書は全て法律秘に該当するのか。

三 国会議員に関する開示基準について

1 政府が、国の防衛に関する事項に係る提出資料や説明の内容について「資料の提出や説明を控えざるを得ない場合」とは、どのような場合か。言い換えれば、どのような要件がそろうと「資料の提出や説明を控えざるを得ない場合」となるのか、明らかにされたい。
2 国会議員が訓令第三八条の規定に従って訓令秘に指定された文書等を借り受けることは可能なのか。
3 防衛庁・自衛隊の教育機関が受け入れた外国人留学生に対して実施されている教育内容の程度の事項は、国会議員に対し開示しても差し支えないと考えるが、政府の見解はどうか。

四 秘密の公開・開示基準について

1 先の政府答弁では、大韓航空機撃墜事件(一九八三年九月一日)の前後の様子を示す交信記録は訓令秘に指定されていなかったとのことだが、これは法律秘には該当したのか、明らかにされたい。
2 防衛庁・自衛隊が収集した我が国に対する領空侵犯の事実は、法律秘あるいは訓令秘に該当するものなのか。
3 多用途支援機の機種選定に係る有識者会合の委員に委嘱した三名の有識者に対して、訓令秘に指定されていないにもかかわらず法律秘に該当する文書を開示したのか。開示したものがあれば、それらの文書名を明らかにされたい。
4 防衛庁・自衛隊においては、秘密に指定されていない文書等を非公開とする、何らかの訓令上の規定が存在するのか。存在するのであればその規定を明らかにされたい。

五 事故報告の達の別紙二~四の開示拒否について

 先の政府答弁は、防衛庁が事故報告の達(昭和四一年陸上自衛隊達第一二一-二号)の別紙二~四(以下「別紙」という。)の開示を拒否した事件について、事実関係を極めて歪めて答弁しているので、強く抗議するとともに、事実関係を再度確認したい。
 先の政府答弁は、私の要求に対して素直に提出したごとく答弁しているが、事実とは懸け離れている。私が一九九二年一一月五日に防衛庁に対し政府委員室を通じて別紙の資料請求をしたところ、後日同室より口頭で「提出は差し控えたい」との回答を受けた。またその理由につき説明を求めたところ、主管課である人事第一課の部員は国会議員にも開示できない旨を断言している(一九九三年四月一九日)。そこで私が別紙が既に『自衛隊公報』第一二七九号に掲載されている事実を指摘するに及んで防衛庁より提出された次第である。この事実だけでも防衛庁において一度は別紙の非開示の判断が下されたことは疑いのないものである。
 そこで以下の点を明らかにされたい。

1 政府委員室より別紙の提出拒否の回答があったのは、これは防衛庁が非開示の判断を下したことを意味するのではないのか。
2 現在防衛庁においては事故報告の達の別紙二~四について公開・開示の扱いをどうしているのか。

  右質問する。