質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

我が国における核政策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年二月十三日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   我が国における核政策に関する質問主意書

 世界で唯一の被爆国である我が国において、核兵器の廃絶は国民の総意である。しかしながら、我が国政府は、自国の防衛について核抑止力に依存し、こうした国民の願いを逆なでし続けている。よって政府が核兵器に関する諸問題についていかなる見解を有しているか明らかにするために以下質問する。

一 核抑止力への依存について

 我が国の防衛政策の根幹である「防衛計画の大綱」は、「核の脅威に対しては、米国の核抑止力に依存するものとする。」としている。
 そこで以下の点につき明らかにされたい。

1 「核の脅威」とは、いわゆる戦略核、戦術核等いずれの種類の核を指しているのか。
2 「米国の核抑止力」とは、いわゆる戦略核、戦術核等いずれの種類の核を指しているのか。
3 「米国の核抑止力」に核兵器以外のものも存在するのであれば、それら全てを明らかにされたい。
4 核抑止力とは、相手からの核攻撃に対して報復攻撃を行うことで成り立つわけであるが、政府は、我が国に対する核攻撃があれば、米国が核による報復攻撃をしてくれることを期待しているのか、また、もし米国の核による報復攻撃以外の形態で核抑止力が存在するのであれば、それがいかなるものであるか、それぞれ明らかにされたい。

二 核兵器使用に関する国際法上の解釈について

 核兵器使用に関する政府の国際法上の解釈について以下明らかにされたい。

1 政府は、国際法上核兵器の使用は無条件に合法と考えているのか。
2 政府が核兵器使用が合法となる場合には条件があると考えているのであれば、その条件全てを明らかにされたい。
3 核兵器の使用が違法か合法かについて未だ確立された国際慣習法がないならば、国際慣習法として確立されるまで、我が国を含め個々の国々がその合法・違法についてそれぞれ独自の意見を持つことは認められると考えるが、政府の見解はどうか。
4 「核兵器の使用が今日の実定国際法に違反するという判断が国際社会の法的認識として確立するまでに至っていないというのが従来からの政府の見解」(一九九四年六月一三日参議院予算委員会における羽田総理大臣答弁)とされているが、この「国際社会の法的認識として確立」したと政府が認めるには、いかなる要件が必要であるのか。

  右質問する。