質問主意書

第131回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一三一第一三号

  平成六年十二月二十二日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員吉川春子君提出元従軍慰安婦への個人補償等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員吉川春子君提出元従軍慰安婦への個人補償等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、政府は心からの深い反省とおわびの気持ちを重ねて申し上げてきた。
 他方で、いわゆる従軍慰安婦の問題を含め先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、我が国としては、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サン・フランシスコ平和条約」という。)、二国間の平和条約及びその他の関連する条約等に従って誠実に対応してきた。

一の2について

 いわゆる従軍慰安婦問題に関しては、外務省も含め関係省庁において誠実に調査を行い、その結果を取りまとめて平成四年七月六日及び平成五年八月四日に発表したところである。

一の3について

 いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、政府は心からの深い反省とおわびの気持ちを重ねて申し上げてきた。
 御指摘の「従軍慰安婦政策」について、引用された政府文書等から一般的に判断して国際法違反であったとすることは困難であると考える。

二について

 いわゆる従軍慰安婦の問題を含め先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、我が国としては、サン・フランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連する条約等に従って誠実に対応してきたところであり、政府として元慰安婦に対して個人補償を行うことは考えていない。

三の1及び2について

 平成四年七月六日及び平成五年八月四日に発表したいわゆる従軍慰安婦問題に関する調査からは、所論のような認識を当時の政府が持っていたことを示す資料は見当たらない。

三の3について

 連合国戦争犯罪法廷の裁判については、政府としては、サン・フランシスコ平和条約第十一条によりこれを受諾した以上、右裁判について異議を唱える立場にはない。なお、政府としては、具体的な事案に関する犯罪の成否等について答弁することは差し控えたい。

四の1について

 政府は、昨年八月の調査結果発表に当たっては関係資料を渉猟したほか、大韓民国において元慰安婦から当時の事情を聴取するなどした。その結果、慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあったこと、また慰安所における生活は強制的な状況の下での痛ましいものであったことなどが明らかになった。

四の2について

 いわゆる従軍慰安婦の問題を含め先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、我が国としては、サン・フランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連する条約等に従って誠実に対応してきた。

四の3について

 警察庁においては、平成三年十二月、内閣官房からいわゆる従軍慰安婦に関係すると思われる資料の有無について調査を求められたことを受け、関係資料について誠実に調査したが、該当する資料はなかった。

四の4について

 いわゆる従軍慰安婦問題に関し、これまでに発見された公文書等については、関係する省庁等においてそれぞれの方法で保存し、プライバシーに配慮した上で原則として公開しているところであり、今後とも同様の取扱いを行う考えである。