質問主意書

第130回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

難病対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成六年七月二十二日

荒木 清寛   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   難病対策に関する質問主意書

 昭和四十七年に政府の「難病対策要綱」が策定されて以降二十年余を経過したが、いわゆる難病や慢性疾患に苦しむ患者や家族は、今日なお、肉体的・精神的、さらには経済的に大きな負担を感じている。また、特定疾患治療研究事業や身体障害者福祉法、障害年金のいずれの対象にもならず、各種制度、施策の谷間に置かれている患者も少なくない。
 こうした実態を踏まえ、現行施策を抜本的に見直し、患者やその家族が必要な保健・医療・福祉サービスを安心して受けられ、クオリティ・オブ・ライフを維持・向上できるような総合的かつ体系的な難病対策を確立する必要がある。こうした観点から以下質問する。

一 現在、公衆衛生審議会成人病難病対策部会に設置された難病対策専門委員会において、二十一世紀に向けた総合的な難病対策が検討されていると聞くが、専門委員会における検討の状況、目途を伺いたい。

二 特定疾患治療研究事業について

1 昭和五十二年度以降毎年度一疾患ずつしか指定されていないのはなぜか。突発性間質性肺炎等すでに診断基準が確立されているものについては、年に一疾患と言わず早急に指定する必要があるのではないか。
2 この事業の対象疾病を「原因不明」のものとしているのはなぜか。原因が究明されていても、治療方法が未確立で、後遺症を残すおそれが少なくない疾病や経過が慢性にわたり、介護等の負担が重い疾病についても治療研究事業の対象とすべきではないか。
3 「患者数が少ないため、公費負担の方法により受療を促進しないと、原因の究明、治療方法の確立などに困難を来すおそれのある疾患」と言うところの患者数とは、何人程度を上限と考えているのか。治療研究事業は、実際には公費負担医療制度として機能しており、医療費の自己負担の解消という観点からは「患者数が少ない」ことを要件にする必要はないのではないか。当面、レックリングハウゼン病などの疾患を対象とすべきではないか。

三 小児慢性特定疾患治療研究事業について

1 多くの疾病の対象が二十歳未満まで延長されている中で、「下垂体性小人症を除く内分泌疾患」「糖尿病」「軟骨異栄養症を除く先天性代謝異常」「神経・筋疾患」については年齢延長が認められていないのはなぜか。これらについても、二十歳未満に延長すべきではないか。
2 慢性疾患をもつすべての子供たちに教育の機会を保障するため、養護学校の分教室や院内学級の設置、訪問教育を推進すべきではないか。また、通常の学級に在籍する子供や県外から入院する子供への弾力的な対応を行うべきではないか。
3 患者家庭の不安の軽減を図り、慢性疾患をもつ子供たちがよりよい生活を送れるように、相談・保健指導を充実するとともに、保健・医療・福祉にわたる総合的な地域ケア対策を確立すべきではないか。
 また、そのための施策をエンゼルプランに盛り込むべきではないか。

四 難病や小児の慢性疾患に係る公費負担医療については、治療研究給付としてではなく、難病や慢性疾患をもつ患者の適正な医療の確保と福祉の増進を目的とする制度に再編するとともに、特定疾患治療研究事業と小児慢性特定疾患治療研究事業という二本立てで行われている現行制度を見直し、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患について、成人後も継続して医療費助成が受けられるようにすべきではないか。

五 難病患者の雇用の促進、職業リハビリテーション等の措置を積極的に進めるべきではないか。また、難病患者を「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく適応訓練、助成金の対象とすべきではないか。

六 既存の障害児者施策との整合性に配慮しつつ、独自の基本法あるいは福祉法の制定について検討を行うべきではないか。当面、難病患者地域保健医療推進事業を抜本的に拡充し、地域医療・保健体制を強化するとともに、ホームヘルプサービス等の福祉サービスを含めた在宅ケアシステムを構築すべきではないか。

  右質問する。