質問主意書

第130回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

高レベル放射性廃棄物の処理処分及び貯蔵工学センターに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成六年七月二十一日

竹村 泰子   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   高レベル放射性廃棄物の処理処分及び貯蔵工学センターに関する質問主意書

 一九九四年六月に原子力委員会によって策定された「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「長期計画」という。)に関連して、高レベル放射性廃棄物の処理処分につき、次のとおり質問する。

一、「長期計画」では「地層処分の候補地として適切と思われる地点について予備的調査を行い、処分予定地を選定する」とあるが、この際の適切とみなされる判断基準とはいかなるものか。

二、動力炉・核燃料開発事業団発行のパンフレット「貯蔵工学センター計画の概要」によると処分予定地の選定には「複数地点における広域調査及びそれらを踏まえた候補地点における精密調査並びに深地層における試験、地上における深地層を模擬した環境工学試験等を実施し、これらの成果について所要の評価を行った後、処分を行う予定地を選定する」とある。ここでいう成果についての所要の評価について、その判断、評価基準はどのように決められているのか。
 また、これら複数地点における広域調査及びそれらの地点における精密調査等についての進ちょく状況について明らかにされたい。

三、一九八七年六月決定の「原子力開発利用長期計画」の記述にあるが、二の調査等は動力炉・核燃料開発事業団の事業として理解しているが、それでよいのか。

四、一九九四年六月の「長期計画」に初めて「幌延」と具体的な地名入りで貯蔵工学センターの推進がうたわれている。周知のように、この貯蔵工学センター計画が明らかにされたのは一九八四年五月である。この時点でなぜ北海道の幌延町を貯蔵工学センターについての立地予定場所として選定したのか。その理由及び選定に至るまでの過程を明らかにされたい。

五、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体貯蔵プラントも含む総合センターとしての貯蔵工学センターの立地基準とはいかなるものか。

六、本年度の原子力開発利用基本計画で述べてある動力炉・核燃料開発事業団が進めているガラス固化技術開発施設でのホット試験運転の開始時期はいつか。

七、六のホット試験運転でつくられる高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の仕様についての法的規制はどのようになっているか。

八、「長期計画」によると、地層処分の手順における、処分予定地の選定作業の中で「実施主体は地元にその趣旨を十分に説明し、その了承を得ておくものとします。」となっているが、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会の手順検討ワーキンググループの川上幸一主査(神奈川大学教授)は「エネルギーフォーラム」(一九九三年十月号)という雑誌の中で「部会の最終案では『地元の同意を要件とする。』という明確な表現であったが、『了承を得る。』に置き換えられた……。」と話している。そこで「地元の同意を要件とする。」との表現を「了承を得ておくものとします。」に変えた理由はどのようなものか。

  右質問する。