質問主意書

第129回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一二九第九号

  平成六年七月十二日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員北村哲男君提出世界基督教統一神霊協会に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員北村哲男君提出世界基督教統一神霊協会に関する質問に対する答弁書

一について

 宗教法人「世界基督教統一神霊協会」(以下「統一協会」という。)に関係して、御質問にあるような訴訟が提起されていることは、報道等により承知している。
 しかしながら、政府としては、一般的に、特定の宗教団体が反社会的な団体であるかどうかについて判断する立場にないと考える。

二及び五について

 我が国においては、憲法に信教の自由の原則が定められており、宗教団体を組織し、宗教活動を行うことは、基本的に自由である。もちろん、宗教団体に法令違反の事実があるような場合は、これに関する法令の規定が適用されることは当然である。
 ところで、宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)に規定する宗教団体とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とし、神社、寺院、教会等の単位宗教法人の場合には、礼拝の施設を備える団体であるが、現在のところ、所轄庁である東京都知事は、統一協会がこの要件を欠いているとは判断していない。
 また、同法第八十一条に基づく解散命令は、所轄庁等の請求等により裁判所が行うことができるとされているが、現在のところ、所轄庁である東京都知事は、統一協会について、その請求を行うべき場合に当たるとは判断していない。

三について

 婚姻当事者に婚姻意思があったか否かは、個々の婚姻ごとに判断されるべき問題であり、それに関する紛争は、最終的には司法により解決が図られるべきものであって、政府としては、一般的に婚姻意思の問題について判断する立場にないと考える。

四について

 政府としては、現在、御質問の統一協会ないし国際勝共連合の活動の詳細については承知していないし、また、御指摘のような問題について、判断する立場にないと考える。

六について

 宗教法人法第七十九条は、宗教法人が行う公益事業以外の事業の停止命令について規定しているが、統一協会の所轄庁である東京都知事は、いわゆる霊感商法については、現在、統一協会の規則には事業として記載されておらず、また、統一協会が行っている事業であるという確証もないことから、現在のところ、同条を適用することは基本的に困難であると判断している。

七について

 御質問の課税上の問題については、個別・具体的な事柄であるので、答弁を差し控えたい。

八について

 宗教法人法においては、宗教法人に対して、所轄庁への収支報告義務を課していないので、所轄庁において、宗教法人の資金の流れを把握することは困難である。また、宗教法人の財産の使用、処分については、法令の規定に違反するような場合を除き、基本的にはその宗教法人の自主的な判断にゆだねられているものと考える。