質問主意書

第129回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一二九第三号

  平成六年四月十九日

内閣総理大臣 細川 護熙   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員野末陳平君提出地方公共団体の行政改革に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員野末陳平君提出地方公共団体の行政改革に関する質問に対する答弁書

一について

 政府においては、地方公共団体における行政改革の推進について、従前から、事務事業の見直し、組織・機構の簡素合理化、給与及び定員管理の適正化等を進めるよう地方公共団体に要請してきたところである。
 特に、昭和六十年一月二十二日には、地方公共団体に対して「地方公共団体における行政改革推進の方針(地方行革大綱)の策定について」の自治事務次官通達により、行政改革大綱を策定し、同大綱に沿って地方行革の推進に一層の努力をするよう強く要請したところであり、その後、昭和六十三年度及び平成五年度において、地方公共団体における行政改革推進体制の整備状況について調査を行うとともに、地方公共団体における組織・機構の簡素合理化、補助金の整理合理化及び許認可事務等の市町村移譲等の行政改革の実施状況の報告を受けたところである。
 その結果、地方公共団体においては、それぞれ行政改革大綱を策定し、これに基づいて自主的・総合的な行政改革が一層推進されているものと認識している。
 なお、地方公共団体の行政改革は、昭和五十年度前後から国に先駆けて取り組まれてきているところであり、これまでも着実に実施されてきているが、今後とも、それぞれの行政改革大綱について必要な見直しを行うとともに、その実施状況を公表すること等により住民の理解と協力を得て、自主的・総合的な行政改革を進める必要があるものと考えている。

二の1について

 地方公共団体の事務の共同処理とは、一般に地方公共団体相互間において特定の事務を共同して処理することをいうが、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)においては、協議会、機関又は吏員等の共同設置、事務の委託、一部事務組合、地方開発事業団等が定められているところである。
 各地方公共団体における事務の共同処理について、総体的目標数値の策定状況については把握していないが、昭和六十年度以降の事務の共同処理の状況については別表第一に示すとおりである。
 政府としては、市町村が時代の要請に対応してより効率的に広域行政を展開する必要が増大していると認識しており、総合的かつ計画的な広域行政をより一層推進するために設けられているいわゆる複合的一部事務組合の制度をできる限り活用し、広域行政体制の簡素効率化を図るよう指導してまいりたい。

二の2について

 各地方公共団体における補助金の整理合理化について、総体的目標又は計画数値の策定状況については把握していないが、昭和六十年度以降の地方公共団体の補助金の整理合理化の状況については別表第二に示すとおりである。
 政府としては、地方公共団体が自主的に行政の責任分野、経費負担の在り方、行政効果等を精査の上、各地方公共団体における補助金の整理合理化に努めているものと認識しており、今後とも、地方公共団体の補助金の新設は極力抑制することとし、新規の補助金を設ける場合にあっても、既定の補助金の整理を図るとともに、終期の設定、不断の見直し等を行うことにより、総額の抑制に努めるよう指導してまいりたい。

三について

 各地方公共団体における御指摘の組織・機構の簡素合理化について、統廃合の計画の策定状況については把握していないが、昭和六十年度以降の組織・機構の簡素合理化の状況は別表第三に示すとおりである。
 政府としては、地方公共団体が組織・機構の新増設の抑制を図るとともに、本庁に限らず出先機関や審議会まで広く見直しを行っているものと認識しており、今後とも、地域の実情に応じた組織・機構の簡素合理化に努めるよう指導してまいりたい。

四の1について

 各地方公共団体における地方行革大綱に基づく定員適正化計画については、都道府県及び指定都市においては全団体で、また、指定都市を除く市町村及び特別区においては八百七十八団体で、それぞれ策定されたと承知している。
 定員適正化計画における各年度ごとの定員の削減率及び削減数については把握していないが、計画期間については、三年間ないし五年間とするものが多く、また、計画期間を通じての計画上の定員の削減率については、都道府県においては、三パーセント以上とした団体が二十団体と最も多く、次いで一パーセント以上二パーセント未満とした団体が十七団体、二パーセント以上三パーセント未満とした団体が八団体等となっており、指定都市においては、一パーセント未満とした団体が五団体、次いで三パーセント以上とした団体が三団体等となっている。指定都市を除く市町村及び特別区の定員適正化計画の定員の削減率は把握していない。
 計画期間を通じての定員の削減数については、都道府県においては一万六十四人、指定都市においては二百九十九人の減少となっている。指定都市を除く市町村及び特別区における定員の削減数は把握していないが、政府が行っている「地方公共団体定員管理調査」によると、計画期間の開始年である昭和六十年から昭和六十三年までの指定都市を除く市町村、特別区及び一部事務組合の職員数は、四千二百三十九人の減少となっている。
 なお、定員の削減による人件費等の経費の削減額については、定員の削減数が実際には退職者数と採用者数等との差によって生じているものであることから、その削減額の算定は難しいものと考えられる。
 地方公共団体における定員管理の適正化については、各地方公共団体において、それぞれの実情に応じて取組が進められているものと認識している。
 政府としては、これまでも地方公共団体に対して定員管理の適正化に努めるよう指導してきたところであるが、今後とも、自治省が地方公共団体の定員算定のための参考指標として各地方公共団体に示している「定員モデル」や「類似団体別職員数の状況」の活用を図りながら、国の第八次定員削減計画を参考に、各地方公共団体が自主的に定員管理の適正化に努めるよう指導してまいりたい。

四の2について

 各地方公共団体における定年制については、昭和五十九年度以降順次導入されており、各年度における退職者数の推移については別表第四(1)に示すとおりである。新規採用者数については把握していないが、地方公務員数及びその増減数の推移については別表第四(2)に示すとおりである。
 なお、地方公務員の定年制導入は、退職者のより確実な予測が可能となることから、その結果、地方公共団体における計画的な定員管理に役立っているものと認識している。

五及び六について

 各地方公共団体における事務事業(公の施設の管理運営を含む。以下同じ。)の民間委託及びOA化についての総体的な目標及び計画数値並びに人員の削減数及び削減額については把握していないが、各地方公共団体における昭和六十年度以降の事務事業の民間委託の進ちょく状況及び事務事業の民間委託の実施による人員の削減数については別表第五に示すとおりである。また、地方公共団体におけるパーソナル・コンピュータ等の導入状況は別表第六に示すとおりである。
 地方公共団体における事務事業の民間委託及びOA化は、基本的には地域の実情に即して地方公共団体の自主的な判断により実施していくべきものと考えているが、別表第五及び別表第六に示されているとおり着実に推進されているものと認識している。
 地方公共団体における事務事業の民間委託及びOA化については、行政運営の効率化、住民サービスの向上等の観点からその推進は必要であると考えており、地方公共団体の事務事業のうち、民間委託及びOA化を実施することが適当なものについては、地域の実情に即して当該団体の適正な管理監督の下に民間委託及びOA化が推進されるよう指導してまいりたい。

別表第一(二の1の関係) 地方公共団体における事務の共同処理の状況

別表第二(二の2の関係) 地方公共団体における補助金の整理合理化の状況

別表第三(三の関係) 組織・機構の簡素合理化の見直しを行った団体数

別表第四(四の2の関係)

別表第五(五及び六の関係) 1/2

別表第五(五及び六の関係) 2/2

別表第六(五及び六の関係) 地方公共団体におけるパーソナル・コンピュータ等の導入状況