質問主意書

第128回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一二八第一号

  平成五年十月二十二日

内閣総理大臣 細川 護熙   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員吉川春子君外三名提出中国残留婦人の永住帰国の実現に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員吉川春子君外三名提出中国残留婦人の永住帰国の実現に関する質問に対する答弁書

一の1について

 満蒙開拓団の派遣は、平成三年三月二十六日の参議院内閣委員会で坂本内閣官房長官が答弁しているとおり、当時の国策の一環として行われたものであると認識している。
 政府としては、累次の機会に述べているとおり、先の大戦において我が国の行為が多くの人々に耐え難い苦しみと悲しみをもたらしたことにおわびと反省の気持ちを抱きつつ、今後一層世界平和のために寄与することによって我々の決意を示していきたいと考えている。

一の2について

 外務省に現存している「在満開拓団・義勇隊在籍者調査表」(昭和二十八年三月)によれば、昭和二十年度末において、義勇隊及び報国農場にいた者を合わせた開拓団在籍者二十四万千百六十名のうち、死亡者六万五千三百二十三名、帰還者十四万六千三百三十名、未引揚者二万九千五百七名が確認されており、また、開拓地面積については、満州拓殖公社の昭和十九年度における決算説明書によれば、総面積六百二十万四千陌(一陌=一ヘクタール)となっている。

二の1について

 中国東北地区等において終戦前後の混乱の中でやむを得ず中国にとどまった日本人で、現在も中国にとどまっている者(以下「中国残留邦人」という。)に対する帰国援護のための施策を行うに当たっては、年齢による区別は行っておらず、御指摘のような「十三歳に達していた事をもって『自由意志』で中国にとどまった」という考え方は採っていない。
 なお、十三歳という年齢は、身元調査の対象者の一つの目安にすぎない。

二の2について

 永住帰国を希望する中国残留邦人に対して、帰国旅費の支給等の帰国援護措置を講ずるに当たっては、御指摘のような、「残留婦人」、「残留孤児」という区別は設けていない。

三の1について

 従来から、在外公館による現地調査、中国帰国者からの聞き取り調査等により中国残留邦人の把握に努めてきたところであり、今後ともこのような努力を継続してまいりたい。

三の2について

 御指摘の意向調査は、これまで帰国に関する意向を確認していない中国残留邦人本人に対し、帰国希望の有無、本人の現況等に関する調査表を本年四月に郵送して、回答を得るという方法で行っているものであり、回答を踏まえて帰国を希望する者については早期に帰国することができるよう適切に対応してまいりたい。

三の3について

 身元引受人及び特別身元引受人(以下「身元引受人等」という。)は、事前の準備、帰国後の日常生活面での相談・助言を行うなど、中国残留邦人の円滑な帰国、定住を実現するために必要な存在である。
 したがって、身元引受人等を前提とした現行の帰国援護施策を継続しつつ、さらに、今後は、身元引受人等の制度に関する一層の周知徹底を図るとともに、身元引受人等について十分な数を確保し、速やかなあっせんが行われるようその改善に努めてまいりたい。

三の4について

 先般帰国した十二名の婦人は、平成五年九月六日、埼玉県所沢市にある中国帰国孤児定着促進センターに入所し、現在、日本の生活習慣の習得等永住に必要な訓練を受けているところである。定住先については、本人の希望を聞き、関係機関と協議しながら一日も早く希望の地に落ち着けるよう努力している。

三の5について

 一時帰国を希望する者に対しては、昭和四十八年度から初めて一時帰国する場合の旅費を支給しているほか、昭和六十二年度からはおおむね十年に一度再一時帰国する場合にも旅費を支給するなど帰国の支援を行っているところであり、今後も一時帰国の希望がかなえられるよう可能な範囲で努力してまいりたい。