第126回国会(常会)
質問第九号
日米共同作戦研究の現状に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成五年六月七日 翫 正敏
日米共同作戦研究の現状に関する質問主意書 政府は「日米防衛協力のための指針」(以下「指針」という。)に基づき、米国と共同作戦計画にかかわる研究を各種行ってきたが、政府がこれら研究の必要性に迫られていた冷戦が崩壊した今日、その見直しを求めるべく、研究の現状について以下質問する。 一 日米共同作戦研究 「指針」に基づく研究作業として、共同作戦計画についての研究が進められてきたが、この研究は一九八四年末「一応の区切りがつき、現在は情勢に応じた見直しなどの作業を行っている」(八九年版『防衛白書』一九六頁)とされている。またこの研究の一応の区切りに伴い二つ目のケース・スタディである「新たな研究」(便宜上、八四年末に区切りのついた研究を「共同作戦計画研究」、その後の「新たな研究」を「新共同作戦計画研究」という。)が八八年夏頃から開始されている(同右白書)。さらに「いわゆる有事来援研究については、「新たな研究」の一環として、時宜を得た米軍の来援について検討を進められている」(同右白書)として、有事来援研究は新共同作戦計画研究に組み込まれた形となっている。 1 「指針」第一項及び第二項に基づく研究項目としては「(ア)共同作戦計画、(イ)作戦上必要な共通の実施要領、(ウ)調整機関のあり方、(エ)作戦準備の段階区分と共通の基準、(オ)作戦運用上の手続、(カ)指揮及び連絡の実施に必要な通信電子活動に関し相互に必要な事項、(キ)情報交換に関する事項、(ク)補給、輸送、整備、施設等後方支援に関する事項」(八五年版『防衛白書』一九五頁)があるが、「共同作戦計画研究」で「一応の区切り」がついたのは(ア)から(ク)までのうちの(ア)だけなのか。あるいはこれに付随する他の項目についても研究の区切りがついたのか。
ア 米軍の来援の研究を進めないまま、「共同作戦研究」に区切りをつけた理由について明らかにされたい。
二 シーレーン防衛共同研究 シーレーン防衛共同研究は八二年の第一四回日米安全保障事務レベル協議において研究について日米間で意見が一致し、これを受けた八三年の第九回日米防衛協力小委員会における同研究の前提条件等の基本的枠組みの確認を経て研究作業が着手され、八六年一二月には研究作業が終了した。同研究は「脅威、シナリオ、投入兵力等を一定の前提の下に設定し、同時に、『指針』に基づく基本的な共同作戦要領等を検討した」(八七年版『防衛白書』二〇七頁)ものであり、その結果、「(1)一定の前提の下における日米のシーレーン防衛能力の検証ができたほか、(2)研究作業を通じてのシーレーン防衛構想、共同作戦要領等に関する日米相互理解の増進、(3)陸・海・空統合かつ日米共同で実施したことによる統合運用に関する理解の深まり、(4)作戦能力に係る一層高度な分析手法・技術の習得といった研究成果を得ることができた」(同右白書)という。
1 日米共同、あるいは日本が分担するシーレーン防衛の範囲は、政府が従来から認めてきたシーレーン防衛の地理的範囲である「日本周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度」の範囲内なのか。
三 「指針」第三項に基づく研究 1 この研究作業の「区切り」はいまだにつかないのか。その見通しについて明らかにされたい。
四 インター・オペラビリティーに関する研究 インター・オペラビリティーの問題は、そもそも「『指針』に基づく各種の研究を実施するに当たって考慮を払っているところである」(八五年版『防衛白書』一九六頁)という、各種の作戦研究における考慮事項に過ぎなかったが、その後「通信面を対象に研究作業を行っている」(八八年版『防衛白書』一九五頁)という、具体的な研究事項へと格上げされている。 1 通信面での研究作業の開始を決定したのは、いつ、いかなる場においてか。
五 その他の研究 「日米調整機関、情報交換に関する事項、共通の作戦準備等の研究作業(以下「その他の研究」という。)については、現在、基礎的な研究を実施しているところ」(八二年版『防衛白書』二三一頁)から現在「逐次研究を行っている」(九〇年版『防衛白書』一九九頁)段階であるが、 1 これらの「その他の研究」は「共同作戦計画研究」、「新共同作戦計画研究」、シーレーン防衛研究とは別個に行われているのか。
右質問する。 |