質問主意書

第125回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質一二五第一〇号

  平成五年一月十九日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員荒木清寛君提出古紙の回収及びその再利用促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員荒木清寛君提出古紙の回収及びその再利用促進に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、古紙の円滑な回収を図るため、従来から、一般家庭からの集団・分別回収を促進してきたところであるが、近年、オフィスから排出される紙ごみの量が増大してきている現状にかんがみ、財団法人古紙再生促進センターへの助成を通じ、平成二年度から、オフィス古紙の共同・分別回収の促進を図るため、回収モデル事業を実施するとともに、回収マニュアルを作成、配布し、普及啓蒙を推進しているところである。
 また、平成三年十月の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)の改正において、廃棄物再生事業者の都道府県知事登録制度を創設し、必要に応じ市町村が登録廃棄物再生事業者に対し協力を求めることにより、古紙回収業者と市町村等との連携、協力体制の確立を図っている。さらに、中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)に基づき、全国製紙原料商工組合連合会が平成四年十一月から構造改善事業を開始したところであり、政府としては、右の施策等に関連して各種の税制上及び金融上の支援措置を既に講じ、古紙回収業者の経営の安定化にも配慮しているところである。
 なお、以上のような政府の取組に加え、財団法人古紙再生促進センターにおいて、平成四年十一月から、古紙卸売業者に対し、古紙の備蓄に要する資金の貸付け(期間一年間)を実施しているところである。

二の1について

 古紙の利用が一層拡大するためには、古紙を利用して製造される製品の需要が安定的に拡大することが重要である。このため、政府においては、省エネルギー・省資源対策推進会議申合せ「古紙の回収・利用の促進について」(以下「申合せ」という。)において、各省庁が、再生紙の使用等について自ら取り組むとともに、政府関係機関を指導し、さらに、地方公共団体等に対してもその普及に努めることを申し合わせたところである。
 これに基づき、政府は、各省庁における再生紙の使用の状況について毎年調査を行っているところであり、平成四年六月に全省庁(地方支分部局を除く。)を対象として行った調査によると、各省庁で使用されているトイレットペーパーのすべてが既に再生紙となっており、コピー用紙についても全省庁の使用量の約六割が再生紙となっている。
 また、地方公共団体における再生紙使用状況についても政府で随時調査を行っているところであり、平成三年六月時点で、全都道府県で使用されているほか、市町村でも半数近くで使用されている。
 今後、国及び地方公共団体における再生紙の使用比率が一層拡大するよう引き続き申合せの実施の徹底を図ってまいりたい。

二の2について

 官公庁が定期的に出版する印刷物における再生紙の使用については、例えば、平成四年に政府が発行した白書類三十四のうち二十六が既に再生紙を使用している等、着実に進展しつつあるところである。
 申合せにおいては、再生紙を使用すべき印刷物として各省庁の出版する白書類等も含まれており、今後、この用途における再生紙の使用の一層の徹底を図ってまいりたい。

二の3について

 申合せに基づき平成四年六月に全省庁(地方支分部局を除く。)を対象として行った調査によると、各省庁で使用されているトイレットペーパーのすべてが既に再生紙となっている。また、地方公共団体における再生衛生用紙の使用状況の調査の実施についても、関係省庁等の間で協議を進めてまいりたい。
 いずれにせよ、官公庁における再生衛生用紙の使用の促進を図るため、引き続き申合せの実施の徹底を図ってまいりたい。

三について

 申合せにおいては、各省庁は、再生紙の使用が図られるよう政府関係機関等を指導することとされており、主要な政府関係機関等については、既に各省庁から再生紙の使用について要請を行っている。今後とも、政府関係機関等における再生紙の使用を一層促進するため、再生紙の使用につき、更に徹底を図るよう指導してまいりたい。

四について

 学校における古紙の回収・利用の促進については、申合せを受けて各都道府県教育委員会等に対し、通知等により協力を要請するとともに、資源再利用の必要性については、学校教育において配慮するよう指導しているところである。
 また、学校における牛乳パックを含むごみの処理については、平成四年六月に学校環境衛生基準の改定を行い、各学校においては、リサイクルできるものは分けて集積し、活用を図るよう各都道府県教育委員会等に対し指導したところである。

五について

 教科書及び副読本においては、現在、一部の図書の表紙や口絵などに再生紙を使用している例がある。
 教科書及び副読本の用紙として再生紙の使用を更に推進することについては、その紙質や価格、安定供給の確保等の課題があるが、今後とも、関係業界において研究を進めるよう指導してまいりたい。

六について

 政府としては、古紙の再利用の促進等に資する措置として、現在、古紙こん包装置及び高性能古紙パルプ製造装置に係る特別償却又は税額控除制度等の税制上の優遇措置を講じているところであり、さらに、来年度の税制改正において、再生資源利用促進準備金制度(仮称)を創設することとしている等、できる限りの配慮を払っているところである。