第125回国会(臨時会)
答弁書第五号
内閣参質一二五第五号 平成五年一月十二日 内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 後藤田 正晴
参議院議員田英夫君提出大韓航空〇〇七便による旧ソ連領空侵犯及び撃墜事件の全貌の解明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員田英夫君提出大韓航空〇〇七便による旧ソ連領空侵犯及び撃墜事件の全貌の解明に関する質問に対する答弁書 一及び五について 御指摘の大韓航空機撃墜事件については、平成四年十二月八日、九日の二日間にわたってモスクワで開催された韓国、ロシア、米国及び我が国の四か国会合において、関連の資料がロシア政府等から国際民間航空機関(以下「ICAO」という。)に引き渡され、ICAOの場で調査分析が行われるべきことが合意された。これを受けて我が国政府は、韓国、ロシア及び米国政府と共に、ICAO理事会で新資料を踏まえた調査再開を強く呼び掛け、平成四年十二月十八日、調査再開が決定されたところである。このように、我が国政府としては、ICAOを通じての真相究明を今後とも進めてまいりたいと考えている。 二について 平成四年九月二十二日から開催されたICAO第二十九回総会においては、飛行記録等の資料の扱い方及びICAOのかかわり方をめぐる国際的動き、我が国以外の本件事件の当事国たる韓国、ロシア及び米国の動向等を見極める必要があったことから、我が国政府としては、御指摘の要請のような主張を行わなかった。
三の1について 我が国政府は本件事件に関する新資料が発見されしだい開示するよう累次にわたり旧ソ連政府及びロシア政府に申し入れてきたところであるが、フライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの内容については、平成四年十月十五日、ロシア政府から、ICAOを通じて、書面にて入手したので、その「複製テープ」の提供は要請していない。いずれにせよ、フライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの「原テープ」はロシア政府からICAOに引き渡され、その調査分析が進められているところである。 三の2について フライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの「原テープ」は、平成五年一月八日にロシア政府からICAOに引き渡され、現在はICAOが保管している。
三の3について 韓国、ロシア、米国及び我が国の間で本件に関する会合が開催され、その後ICAO理事会において本件調査再開が決定された結果、フライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの「原テープ」を含む関連の資料が調査のためICAOに引き渡され、ICAOの場で真相究明が進められることとなったことは一及び五についてにおいて述べたとおりである。したがって、我が国政府としてロシア政府あるいはICAOに対し、ロシア政府がICAOに提出済みの「原テープ」の「複製テープ」を我が国政府に対しても改めて提供するよう要求することは考えていない。
四の1について 防衛庁が公表した御指摘の資料は、自衛隊の業務の遂行に伴って得られた記録を公表したものであり、客観的なものであると認識している。
四の2について 運輸省は、昭和五十八年当時に大韓航空〇〇七便に関係するすべての交信記録を公表したが、平成四年十月十五日にロシア政府からICAOを通じて入手した資料にある「国内便三一三、こちら東京」という交信を、東京国際対空通信局が行った記録はない。
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