質問主意書

第125回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇号

古紙の回収及びその再利用促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成四年十二月十日

荒木 清寛   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   古紙の回収及びその再利用促進に関する質問主意書

 地球的規模の環境問題の深刻化に伴い、逐年、資源再利用の必要性についての関心が高揚している。現在、東海地区では約三万にも及ぶ各種市民団体、教育機関及び地方公共団体等を核として、月間約三百五十トンを超える牛乳パックが回収される等、リサイクル運動の輪は拡大し続けている。
 しかし、最近に至り景気変動の余波を受け、古紙の需要は大きく崩れ、このままでは我が国の古紙再利用率の目標とされている五十五パーセント達成が危惧される状況にある。こうした古紙再利用の閉塞状況を打開するため、以下の項目について質問する。

一 古紙回収業者の経営安定と対策強化

 古紙の集団回収への補助金制度が各地に相次いで導入された結果、古紙回収率が向上し、多量の古紙が回収業者に集荷されている。しかし、昨今の再生紙製品の販売不振により原料古紙の在庫が大幅に積み上がり、古紙市況価格の暴落の中で回収業者は評価損等の大きなリスクを抱え、転廃業の危機にさらされている。もし、この現状を放置するならば、資源リサイクルの環を断ち切る事態になりかねない。従って、古紙回収業者の果たしている社会的意義の大きさにかんがみ、政府として円滑に回収が図られるよう緊急の支援対策を講ずるべきではないか。

二 国及び地方公共団体の再生紙利用の実態把握と利用促進

1 古紙リサイクル事業が軌道に乗るには、最終需要の確保が不可欠とされている。そのため、大規模な組織を持つ公共機関の有する宮公需の重要性に着目し、国を挙げての再生紙利用が待たれるところである。従って、国及び地方公共団体におけるその利用状況について実態調査を行うべきではないか。その上で、毎年次ごとに再生紙の購入使用比率の達成目標数値を設定するようにすべきではないかと思料するがどうか。
2 官公庁が定期的に出版するいわゆる白書・年報・広報誌について、再生紙の利用を義務付けることにより、再生紙の需要拡大に先鞭をつけるべきではないか。
3 従来より衛生用紙を初めとする再生紙の使用を奨励する政府広報あるいはグリーンマーク事業が展開されているところであるが、国及び地方公共団体の再生衛生用紙の利用状況を調査するとともに、政策目標の早期実現のため官公庁が率先して、再生衛生用紙の使用に全面転換すべきではないか。

三 政府関係機関等に対する再生紙の利用促進の要請

 再生紙利用の推進効果を上げ、リサイクル社会の早期定着を図るため、公庫・公団・事業団・特殊会社及び公益法人など多くの政府関係機関等の持つ影響の大きさとその果たす公共的使命にかんがみ、再生紙利用の促進に関する要請を行うべきではないかと思料するがどうか。

四 学校給食に供される牛乳パックの回収の推進

 牛乳パックはパルプ百パーセントの良質紙であるため、紙原料として優れたものとされている。しかし、防水効果を保持するために表面に施されたポリエチレンフィルムが除去されない限り、それが異物として残り紙原料として不向きなものとされてきたが、先般、そのフィルムを除去する技術開発に成功し、また牛乳パック古紙が板紙の原料としても使用可能となった。従って、学校給食に供されている牛乳パックについて、資源再利用の必要性についての教育的視点に則して、各学校単位ごとにその回収を行うよう地方公共団体に指導すべきではないか。

五 義務教育用教科書並びに副読本における牛乳パック古紙等再生紙の利用推進

 地球環境破壊に関する対症療法から一歩進め、長期的視点に立脚した環境教育が不可欠である。就学児の使用する教科書及び副読本について、牛乳パック古紙を利用した再生紙の利用を推進することは、前項の古紙回収運動とあいまって、生徒が、自ら環境問題を身近なかつ具体的な問題として対処する契機になると思料する。従って、長期的にはこれら教材について再生紙に切り換えることを目標とし、当面は表紙から着手し、順次、再生紙利用比率の引上げを図るべきではないか。

六 特別償却対象再生紙製造設備の範囲拡大

 通常の製紙業と異なり、前処理など多くの作業を余儀なくされる再生紙業は、製造コストが割高になる。この悪条件を緩和し、再生紙用品が安価に出荷できるよう、従来の製造設備に加えて、牛乳パックにはられているラミネートを除去する古紙処理設備及び除去済ラミネートの焼却・廃熱利用排燃ボイラーについて、早急に特別償却の適用対象とするべきではないか。

  右質問する。