質問主意書

第125回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

エステティック問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成四年十二月七日

武田 節子   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   エステティック問題に関する質問主意書

 近年若い世代を中心に注目を集めているいわゆるエステティックサービスは、痩身、脱毛、美顔、リクライゼーションまで幅広い内容を持っているが、今日、これに関する資格制度も法的規制もなく、またサロンの多くが業界団体にも未加盟な状況であるために、その実態はいまだ明らかにされていない。しかも、この問題については、その契約やサービスの内容、広告の在り方等多くの問題点がかなり早い時期から指摘されてきたにもかかわらず、政府は消極的な対応に終始してきたと言わざるをえない。
 私は、消費者保護を万全なものとするとともに、国民の健康を守り、エステティックサービスに関する被害を未然に防止するため、法整備を含めた早急な措置をとる必要があると考えるものである。
 以上の観点から、以下具体的に質問する。

一 エステティックサービスの実態と定義

1 エステティックサービスについて、その定義も実態も不明のまま、トラブルが増大し社会問題化しているが早急に実態を調査し定義を明確にすべきではないか。調査の時期、報告の具体的めどを示されたい。
2 エステティックサービスに係る被害、苦情の的確な把握を行うとともに、所管部局の連携の下に一元的な苦情処理体制を一刻も早く確立すべきではないか。また、国民に対し、エステティックサービスの科学的効果等に関する情報提供を積極的に行うとともに、継続的なサービス取引に関して消費者に対する啓発活動を進める必要があると考えるが、その具体的対応策を示されたい。

二 エステティックサービスの内容

1 エステティックサロンにおいて行われている主な施術内容、施術方法について具体的に示されたい。また、それぞれの施術に係る科学的効果、効能及び施術に伴う副作用、危険性について示されたい。
2 医師法第十七条は「医師でなければ医業をしてはならない」と定めている。エステティックサービスに関連する施術のうち「医業」に該当する施術内容、施術方法を示されたい。また、理容師法、美容師法、あんまマツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、薬事法等現行法規に抵触するおそれのある施術内容、施術方法を示されたい。
3 厚生省は昭和五十九年に毛のうへ針を挿入し電気を通す永久脱毛法について医師法違反であるとの通知を出しているが、現在なお、エステティックサロンにおいて同様の脱毛行為が日常的に行われている状況をどのように認識しているのか。医師法を初めとする各種法規に抵触する行為については即刻実効ある禁止措置を講ずるとともに、監視体制を強めるべきではないか。
4 医師や理美容師等の専門分野と深いかかわりを持ち、人の身体に施術を行うものであるから、その開業については届出制とする等何らかの規制を行うとともに、その安全性を担保するために必要な構造設備規準、衛生上必要な措置等についての基準を設けるべきではないか。また、エステティックサービスに係る公的資格認定制度を設けることについて、どのような見解を持っているか。

三 サービスの表示

1 消費者に対し、エステティックの内容について的確な情報を提供できるよう、早急にサービス内容を表示する用語の統一を図るとともに、ある用語で示されるサービスの内容を規格化すべきではないか。
2 科学的に根拠のない効果、誇大な体験談記事など消費者の過大な期待や誤解を招くような表現は、景品表示法違反の疑いがあると考えるがどうか。
3 今後は、エステティックサービスに係る広告に対する指導を強化する必要があると考えるが、対応策を示されたい。特に、公正取引委員会は、美顔効果、脱毛効果に関する不当表示についてサービス業者団体に対して文書で警告を行うべきではないか。

四 契約・支払方法

1 利用者にとってはサービスを受けてみて初めてその内容が分かるエステティック契約は、一回ごとの支払を原則とするよう指導すべきではないか。
2 仮に消費者の自発的意思による一括前払を認める場合でも、その上限を設けるべきではないか。
 あわせて、業者倒産による消費者被害救済を図るため、前受金保全措置を義務付けるべきではないか。
 同時に、消費者の中途解約権を保障するとともに、解約料が過大なものとならないよう、指導すべきではないか。
 また、エステティックサービス等のサービス取引を割賦販売法の規制対象とすることによって、信販会社等に対する支払拒絶の抗弁権の接続を担保すべきではないか。
3 契約に当たって、健康上のリスク、利用者が利用できるすべての支払方法、中途解約権と代金精算方法の明示、中途解約に伴うクレジット契約の処置等を含む契約条件について消費者に十分に告知するよう指導するとともに、これらを分かりやすく明記した契約書の書面交付を義務付けるべきではないか。
 また、支払、解約等に関し消費者の意見を反映した標準約款を事業者団体に定めさせる必要があるのではないか。

  右質問する。