第125回国会(臨時会)
質問第五号
大韓航空〇〇七便による旧ソ連領空侵犯及び撃墜事件の全貌の解明に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成四年十二月二日 田 英夫
大韓航空〇〇七便による旧ソ連領空侵犯及び撃墜事件の全貌の解明に関する質問主意書 一九八三年九月一日、大韓航空〇〇七便が大幅な空路逸脱をした結果、カムチャッカ及びサハリンにおいて旧ソ連の領空を侵犯し、ミサイル攻撃を受けて、乗客・乗員二六九名の生命が犠牲になった事件に関し、事件直後、衆参両院は全会一致の決議をもって、政府に対し、事件の全貌を解明することを要求している。
一 政府は従来、この事件の真相の解明に当たってはICAO(国際民間航空機関)の加盟国として、ICAOを通じての真相究明の活動を積極的に推進していく方針をしばしば国会において、繰り返し表明してきているがこの基本方針は現在においても変更はないか明らかにされたい。 二 私は去る九月十一日、エリツィン・ロシア共和国大統領が記者会見の場で、大韓航空〇〇七便の飛行記録(フライトレコーダー、ボイスレコーダー等)を近く韓国側に引き渡すと言明した旨の報道を受けて、「平成四年九月二十二日付、渡辺美智雄外務大臣あての要請書」を、同僚議員(瀬谷英行議員)と連名で提出し、また直接、小西正樹外務省官房審議官(国際連合局付)にも申し入れる等の方法により、一九九二年九月二十二日からカナダのモントリオールで開催されたICAO総会において、次の二点について日本政府としての主張をするように要請した。 1 新たな、かつ重要な証拠の出現にかんがみ、大韓航空機事件の事故調査を早期に再開すること。
イ 政府の考えは賛否いずれであるのか、明らかにされたい。
三 最近の報道によれば、韓国を訪問したエリツィン・ロシア共和国大統領が、韓国大統領に対し、直接、大韓航空〇〇七便のブラックボックス及び三本の録音テープを手渡したとされるので、この点に関して質問する。 1 政府は今までロシア共和国政府又は韓国政府に対し、旧ソ連政府が大韓航空〇〇七便の機体から回収したフライト・レコーダーとボイス・レコーダーの「複製テープ」の提供を要請した事実があったか。(仮に、要請した事実が一度もないとすると、なぜ、要請しなかったのか。)
四 政府が去る十月十五日、ロシア共和国側より、ICAO(具体的には在モスクワのカナダ大使館)を通じて入手したロシア語表記の資料によれば、事件直後に防衛庁が公表した大韓航空機の航路図(「防衛アンテナ」一九八三年十月号にも掲載)及び一九八五年二月二十八日に防衛庁が大出俊衆議院議員に提出した「自衛隊のレーダーデータによる大韓航空機の高度及び速度等」と題する文書等は「事実とは相当異なる資料」だったと評価せざるを得ないように思う。 1 防衛庁が従来公表した大韓航空機事件に関する右資料について、今日の時点で政府はどのように評価しているかを明らかにされたい。
五 エリツィン・ロシア共和国大統領は、去る十一月十九日、韓国国会で行った演説の中で、この大韓航空機事件を最終的に解明するため、(1)事件の関係国のすべての文書を研究する国際的な多国間専門委員会を設置するように提案し、かつ(2)ロシア共和国は旧ソ連国家保安委員会(KGB)や旧ソ連共産党中央委員会に保管されている同事件に関するすべての文書を公開する用意があると明言されているが、政府は事件関係国の立場において、右のエリツィン演説に対してどのようにこたえ、今後、事件の真相の解明のために具体的にどのような行動をする用意があるのかを明らかにされたい。 右質問する。 |