質問主意書

第123回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一二三第一五号

  平成四年六月九日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 長田 裕二 殿

参議院議員小笠原貞子君外一名提出北洋漁業の存続と関連産業の救済対策促進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小笠原貞子君外一名提出北洋漁業の存続と関連産業の救済対策促進等に関する質問に対する答弁書

一について

 政府は、母川国主義の定着を背景に、本年漁期から公海におけるさけ・ますの漁獲を認めないこととしているが、昨年六月の日ソ漁業担当大臣間協議において双方の二百海里水域内における操業機会の安定的確保について意見の一致がみられ、本年の日ロ漁業合同委員会及び民間協議において一定の漁獲枠を確保したところである。また、国際漁業再編対策についての平成元年十二月二十二日の閣議了解(以下「閣議了解」という。)に従い、減船対策、事業転換対策等を進めているところである。

二について

 昨年の第四十六回国際連合総会において、千九百九十二年六月末までに公海流し網漁業の全面禁漁を求める決議案が米国等から提出された。大多数の国が公海流し網漁業の存続に否定的態度を示すという極めて厳しい国際環境の中で、政府としては本漁業を停止することはやむを得ないものと判断し、停止に伴う影響を極力緩和するため、操業期間を六箇月延長して同年十二月末までとする妥協案を共同提案し、同提案が採択されたものである。
 この国際連合総会決議は、アカイカの漁獲自体を禁止しているものではないことから、アカイカ漁業の存続を図るため、国の試験研究機関等において代替漁法の開発調査を行っているところである。

三について

 ふ化場建設等を行う合弁事業については、合弁事業の日本側参加者に対する漁獲枠の確保を図るため、日ロ漁業合同委員会において協議を行うとともに、関係者への情報の提供等の支援措置を講じてきたところであり、今後とも合弁事業が円滑に推進されるよう努めてまいりたい。

四から六までについて

 北洋さけ・ます漁業及び北方底びき網漁業については、国際的な漁業規制の強化がこれらの漁業及び関連産業に与える影響にかんがみ、閣議了解に従い、減船を余儀なくされた漁業者に対する救済費交付金の交付等の救済措置及び水産加工業者等関連事業者に対する水産加工資金の融通等の事業転換等対策を講じているところである。なお、漁業者が受領する救済費交付金等の使途については、特段の制限を設けていない。また、当該減船に伴い離職を余儀なくされた漁業離職者に対しては、職業転換給付金の支給等により求職中の生活の安定、再就職の促進等を図っているところである。
 さらに、いか流し網漁業については、流し網漁法以外の漁法による漁業の存続を図るため、代替漁法の開発調査を行っているところである。

七について

 政府としては、今後、業界団体、関係地方公共団体等関係各方面との連絡を密にし、函館地方の製網業者の実態の把握に努めてまいりたい。
 また、当該業者におかれては、各種の支援措置を積極的に活用されることを期待している。

八について

 流し網漁法に代わる漁法としては、釣り、表層ひき網等が考えられる。これら代替漁法については、本年緊急に、国の試験研究機関、関係道県の水産試験場等において、調査船を使用し、その開発調査を行っているところである。

九について

 ペルー、メキシコ沖で漁獲されるアメリカオオアカイカは、流し網漁法により漁獲されるアカイカの代替原料となり得るものであるが、異味の強いものがある。今後、国の試験研究機関及び関係道県の水産試験場においては、その利用の促進を図るとの観点から、アメリカオオアカイカの試料を定期的に入手し、漁場、漁期等による異味の状況等の把握を行うとともに、これらの結果を踏まえ、対応を検討していくこととしている。

十について

 北海道東部地方については、食品等の輸入に際しての検査及び指導の事務は小樽検疫所において、港及び飛行場における検疫及び防疫の事務は小樽検疫所網走出張所及び同釧路出張所において、適切に実施しているところである。
 御指摘の点については、効率的な事務を実施する観点から、当該地方で輸入される食品等の届出件数、当該地方に来航する船舶数等の動向等を踏まえ、適切に対処してまいりたい。
 税関においては、根室市、釧路市、稚内市、小樽市等に税関官署を設置し、当該地域の行政需要に見合った人員を配置しているところであり、また、必要に応じ、税関職員に対してロシア語を含む語学研修を実施しているところである。
 今後とも、当該地域の行政需要に応じた適正な人員配置を行っていくとともに、語学研修の充実を図っていく所存である。