質問主意書

第123回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質一二三第一〇号

  平成四年四月三日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 長田 裕二 殿

参議院議員猪熊重二君提出過誤納固定資産税返還に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員猪熊重二君提出過誤納固定資産税返還に関する質問に対する答弁書

一について

 固定資産税の過誤納金については、すべての地方公共団体における状況は把握していない。
 なお、地方公共団体からの個別の相談等を通じ、いくつかの地方公共団体において、固定資産税の過誤納金が生じていること及び当該過誤納金のうち消滅時効に係るものがある場合において地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十二条の二の規定に基づく支出又は国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)に基づく損害賠償を行っていることは承知しているが、その件数及び金額の状況は把握していない。

二について

 固定資産税の過誤納金のうち消滅時効に係るものの取扱いについては、平成三年五月十六日に、このような過誤納金の発生した地方公共団体におけるその取扱いについての研究会の報告書の要旨及び固定資産税の過誤納金に関する同年三月二十六日の参議院地方行政委員会の会議録を地方公共団体に送付し、また、同年十月十五日及び同月二十五日に開催された平成三年度固定資産評価事務中央研修会を通じ、関係地方公共団体において、前記報告書を参考として課税の実情等を踏まえた適切な対応を図るよう指導している。
 また、個別に相談があった地方公共団体に対しても、随時、当該地方公共団体の課税の実情等を踏まえた適切な対応を図るよう指導しており、関係地方公共団体において適切な対応を図っているものと考えている。

三について

1 御指摘の判決の存在及び判決理由については承知している。
2 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百八十四条第一項の規定に基づき、市町村の条例で、住宅用地の所有者について固定資産税の賦課徴収に関して必要な事項の申告義務を定めている場合において、当該申告は、同法第三百四十九条の三の二の規定による住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例の適用要件ではないが、当該特例の適用漏れとなった賦課決定について、課税当局に過失があるか否かは、個々の事例について個別に認定されるべきものと考えている。
 固定資産税の過誤納金のうち地方税法第十八条の三の規定により請求権の消滅時効が成立したものについては、地方税法上還付することはできないが、納税者が損害賠償を請求することを妨げる規定はない。
 国家賠償法に基づく地方公共団体に対する損害賠償請求権に係る消滅時効については、民法の規定が適用される。
3 固定資産税の過誤納金のうち地方税法第十八条の三の規定により請求権の消滅時効が成立したものについては、当該過誤納金の発生した事由が様々であることなどから、一律に、国家賠償法に基づき納税者に賠償するよう指導することは考えていない。