質問主意書

第123回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

核燃料物質の移動・貯蔵・取扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成四年六月十九日

山田 俊昭   


       参議院議長 長田 裕二 殿


   核燃料物質の移動・貯蔵・取扱いに関する質問主意書

一 現在プルトニウムの価格や再処理コストはきわめて不明瞭のままである。日本のプルトニウムリサイクルに当たって、これが経済的に成り立つものであるか否かもこれでは判断できない。そこで、一九八八年四月二二日、衆議院外務委員会における辻一彦議員、村山富市議員の質問に対する答弁に関連して伺う。

1 当時、動燃再処理工場で使用済燃料一トンを処理する費用は一億八千万円と答弁している。その後、現在まで費用の変遷はあるのか。あるとすれば、トン当りの費用を年あるいは年度ごとに示して欲しい。
2 電力会社が動燃に払うトン当たりの再処理費用は、一億八千万円から変化しているのか。違うとすれば、電力会社は使用済燃料トン当たりいくらの再処理費を動燃に支払っているのか。
3 イギリス、フランスに委託している再処理費は、トン当たりそれぞれいくらか。
4 当時、電力会社のプルトニウムを、動燃はキログラム当たり一三〇万円で買い取っていたが、その後、現在まで買取価格に変更はあるのか。あるとすれば、キログラム当たりの買取価格を年あるいは年度ごとに示して欲しい。
5 一九八四年フランスから返還されたプルトニウム一八九キログラムは、動燃が関西電力から十億円で買い取ったとのことだが、今年秋に返還される予定のプルトニウム一トンを動燃はいくらで買い取るのか。
6 そのプルトニウム一トンを動燃に販売した電力会社はどこか。電力会社名と会社ごとの販売量を示して欲しい。
7 一九八四年フランスから返還されたプルトニウムを輸送するとき、動燃は晴新丸を五億円で雇ったが、今年秋に予定しているプルトニウム輸送船について、以下のことを伺う。

(1) この船の所有者は誰か。また、イギリスから買い取った際の価格はいくらか。
(2) この船はイギリスで改造され、さらに三菱造船で改造されている。それぞれについて、改造依頼したのは誰か。また改造費はいくらか。
(3) この船の船籍港はどこか。
(4) この船の船名は何というのか。総トン数はいくらか。

8 今年五月二六日衆議院科学技術委員会で、谷川科学技術庁長官は「米国との間でまだ輸送計画について合意に達していない」と答弁しているが、現在もまだ合意に達していないのか。

二 今年秋から予定されているプルトニウム輸送は、わが国をプルトニウムの大量保有国にする。核不拡散の面からわが国のプルトニウム大量保有を危ぶむ声が各国から上がっている。これらの声に応えるには、わが国における保障措置が有効であることを実証しなければならない。ところが原子力白書に毎年発表される「核燃料物質移動量」では、わが国のプルトニウム収支が合わないので、これについて伺う。

1 一九八四年(一二月三一日現在)における、製錬転換施設の天然ウラン収支は、搬入が一〇八トン、搬出が四八トン、在庫二九一トンで収支が二二九トン合わない。なぜか。
2 再処理施設におけるプルトニウムの収支が、一九九〇年で前年末在庫一二三四キログラム、搬入四二〇キログラム、搬出五一四キログラムで、在庫一一四〇キログラムでなければならないのに、在庫一一一八キログラムとされ、二二キログラム合わないのはなぜか。
3 同じく再処理施設におけるプルトニウム収支は、一九八四年から一九九〇年までの累計で七一キログラムも不足するが、これはなぜか。
4 MOX燃料施設におけるプルトニウム収支が、一九八八年では、前年末在庫八〇四キログラム、搬入三九一キログラム、搬出二九五キログラムで、在庫九〇〇キログラムでなければならないのに、在庫八七三キログラムとされ、二七キログラム合わないのはなぜか。
5 同じくMOX燃料施設におけるプルトニウム収支は、一九八四年から一九九〇年までの累計で四五キログラムも不足するが、これはなぜか。
6 この核燃料移動量は何を表したものなのか。
7 核燃料移動量は、計量管理報告に基づいて作成されたものではないのか。
8 核燃料移動量が核物質管理のための表だとすれば、不明核物質が数十キログラムあることは、国際問題ではないか。核燃料移動量が核物質管理のための表でないとすれば、なぜ、核物質管理のための表は発表されないのか。

  右質問する。